コラム

本コラム欄では、八木書店の出版物に関わる紹介文や、『日本古書通信』編集長の日記、会社の歴史などを掲載いたします。ぜひご覧ください。

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  • 特価本方面で大活躍 【紙魚の昔がたり23】

    (八木) ですから、松坂屋で古書部と同時に、別館で特価本卸部というのをやらせてくれたわけです。  (反町) それも成功でしたね。  (八木) 特価本というのは、あの頃ずいぶん盛んでした。しかし失敗もあります。講談社にいた人が独立して、『太陽少年』という月刊雑誌を発行していました。この社では、ずいぶん […]

  • 片山敏彦歌集『ときじく』と詩集『暁の泉』【日本古書通信 編集長だより29】

    プロの歌人や俳人ではない、学者や小説家の歌集や句集が好きで目に付くと購入してきた。学者には歌集を出す人が少なくないが、不思議と小説家で歌集がある人は少ない。小説家の句集なら枚挙に暇がないくらいなのに、歌集ですぐ思い浮かぶのは、鷗外の『うた日記』と、没後に出された『谷崎潤一郎家集』くらいだ。木下尚江に […]

  • 書店に並ばない本2(白戸満喜子)

    以下は「日本古書通信」掲載「特殊文献の紹介」欄に紹介されたものの一部です。 入手などについては、各書末尾の発行所へ直接お問い合わせ下さい。販売を主としたものではありませんので、丁寧な対応をお願いいたします。(日本古書通信社)   大阪総合保育大学総合保育研究所絵本プロジェクト編著「科学絵本 […]

  • デパート古書部をやめる 【紙魚の昔がたり22】

    (八木) 古書の方は、まだいろいろお話もあるんですが、私自身は、最初に話しましたように古本と特価本と出版と、それから美術の書画幅とをやってまして、各部門でお話があります。特価本は書物展望社の本が最初で、スタートを切ったわけですが、つづいて改造社・日本評論社・鉄塔書院などを手がけました。鉄塔書院は、岩 […]

  • 書店に並ばない本1(白戸満喜子)

    以下は「日本古書通信」掲載「特殊文献の紹介」欄に紹介されたものの一部です。 入手などについては、各書末尾の発行所へ直接お問い合わせ下さい。販売を主としたものではありませんので、丁寧な対応をお願いいたします。(日本古書通信社)   麓和善・鳴海祥博・窪寺茂・舘龍午「岐阜県近代和風建築総合調査 […]

  • 古書業界と明治―としょかんのこしょてん開催 【日本古書通信 編集長だより28】

    東京九段下にある千代田図書館で、5月9日(水)から6月26日(火)まで、当社担当のミニ展示会「古書業界と明治」を開くことになった。これは神田古書店連盟の古書店が順番に違った切り口で古書を紹介する「としょかんのこしょてん」の96回目に当たる。お話を頂いて、今年は明治150年に当たるから、当社関連の刊行 […]

  • デジタル時代の研究者へ―研究史と参考図書―(浜田久美子)

    はじめに まずは、日本古代史の研究者に耳寄りな情報を提供したい。国立国会図書館デジタルコレクションで容易に閲覧できる古代史研究に有用な文献の紹介である。 A 令集解(清家本) B 朝日新聞社本六国史 続日本紀(上・下〈淳仁即位前紀~〉)、日本後紀(上・下〈逸文〉、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三 […]

  • 入江文庫の大コレクション 【紙魚の昔がたり21】

    (八木) つぎに先ほど反町さんが言われた「入江文庫」の件、これも最初私に話のあったもの。手帳を見ましたら、総売上げが百三万円になってましたですね。  (反町) それは第一日の分……。  (八木) ええ、古書会館でやった分です。  (反町) それから翌日本郷へ行ってやった分が二十万円余り。二日分合わせ […]

  • 少年二宮金次郎像の変容【日本古書通信 編集長だより27】

    昨年の「日本古書通信」10月号に「二宮金次郎伝について」を執筆したが、その後も様々な文献が集まってきて、興味が尽きない。中でも、日本文化研究センターの井上章一氏が、かつて小学校によくあった「負薪読書」二宮金次郎像の原型である幸田露伴『二宮尊徳翁』(明治24)の小林永興の折り込み口絵の参考図が、ジョン […]

  • 瀬石の「道草」の自筆原稿 【紙魚の昔がたり20】

    (八木) あの方(勝本清一郎氏)が言っておられたことですが、若い時は活字だとか肉筆の原稿を集めていたけれど、年をとって目が悪くなってくると、絵の方に移っていく。最後には陶器へいく。触覚で追求するようになったから、おれもこれで終わりだってことを言っておられました。  これもどなたから買ったのか忘れまし […]

  • 著書目録について【日本古書通信 編集長だより26】

    本誌2,3月号に俊野文雄氏による「田中美知太郎書誌」を掲載した。本来、博士の全生涯・没後も含む著作年表、著作目録、参考文献などからなる未刊の膨大な書誌で、今回はその内昭和18年から22年までの書誌を抜粋・再編して頂いたものだ。御覧頂ければわかるように、通常の書誌とは趣が違う、私的な観想を含む、読む書 […]

  • 貞松文庫と採選亭版【立正大学・古書資料館の世界 3回】(小此木敏明)

    1.はじめに―貞松山蓮永寺について 今回は、古書資料館の文庫の話から始めたい。同館が所蔵する文庫のうち、最も数が多いのは貞松(みまつ)文庫だろう。貞松文庫は、静岡県静岡市葵区沓谷(くつのや)に現存する貞松山蓮永寺の旧蔵書である。蓮永寺は、日蓮の高弟であった日持が庵原(いはら)郡松野村に開いたとされる […]

  • 『我楽多文庫』の原稿を二千円で 【紙魚の昔がたり19】

    (八木) 勝本さんの話が出ましたので順序は前後しますが、尾崎紅葉の『我楽多文庫』の原本の話をしましょう。昭和十四年一月に、大阪日本橋の天牛書店の二階で、生田文庫という明治物の収集家の売り立て会がありました。その時に、尾崎紅葉が十九歳の時に、山田美妙・石橋思案等の友人たちと一緒に、肉筆の回覧雑誌をつく […]

  • 日本書紀の写本一覧と複製出版・Web公開をまとめてみた

    ■現存しない「原本」 日本の古代を知るためにもっとも重要な史料の一つが、『日本書紀』です。奈良時代の720年に成立した、いわゆる六国史(りっこくし)の第一にあたる歴史書で、本文全30巻と系図1巻とがあったとされます。本文、系図ともに奈良時代の原本は現存していませんが、本文の全30巻については後世の人 […]

  • 『世界文学』の伊吹武彦「編輯者のことば」【日本古書通信 編集長だより25】

    かつて、翻訳文学書は古書業界の人気アイテムで、文庫本でしか読めない作品とか、著名作家や詩人による翻訳書は割合高額で販売されたものだ。東大とか京大の欧米文学研究者の著書も持て囃された時代があったが、もう二十年以上前の事で、今や古書価は下がる一方だ。海外の思想書も文学程ではないが人気が高いとは言い難いだ […]