コラム

本コラム欄では、八木書店の出版物に関わる紹介文や、『日本古書通信』編集長の日記、会社の歴史などを掲載いたします。ぜひご覧ください。

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  • 書入れが語る明治文人の交流 【立正大学・古書資料館の世界 1回】(小此木敏明)

    1 『晩晴楼詩鈔』の書入れ 今回から、さっそく古書資料館の本を紹介していきたい。初回ということで、何を紹介すればよいかとかなり悩んだ。前回も述べたが、おそらく、立正大学は仏教系の大学というイメージを持たれていると思う。仏教系の大学が収集する蔵書は、やはり仏教書が多い。古書資料館の蔵書も、仏教関係7割 […]

  • 古書資料館へようこそ 【立正大学・古書資料館の世界 0回】(小此木敏明)

     1 はじめに 今年の初め、勤務先の図書館を紹介できそうな媒体が何かないかと、当時八木書店に勤めていた研究者仲間に軽い気持ちで相談したところ、このコラムを勧められた。大変そうではあったが、こういう機会もそうそうないと思い、書かせてもらうことにした。 私の勤務先は立正大学の古書資料館というところで、専 […]

  • 松坂屋古書部として大発展 【紙魚の昔がたり13】

    (反町) 誰れもが金の一番ない時期でしたね。それというのは、二十一年の三月に、新円と旧円の切り替えでね。どんなにたくさん金を持っていても、一定限度以上は、政府は新円と取りかえてくれない。最高が五百円限度です。それで、あとは生活費を毎月いくらかずつ、家族の人数に応じて、新円を旧円と取換えてくれるだけ。 […]

  • あの作家は●月生まれだった<8月編>

    今月ご紹介する作家は、会津八一・室生犀星・吉川英治の3名です。 会津八一(あいづ やいち) 明治14年8月1日(一八八一)生 昭和31年11月21日(一九五六)没 歌人、書家、美術史家。新潟市古町通五番町生。号秋艸道人、渾斎等。早稲田大学英文科卒。のち教授。在学中より俳人として活躍したが、奈良旅行を […]

  • 海外のキリシタン史料を読むために 高瀬弘一郎(慶應義塾大学名誉教授)

    キリシタン史に不可欠の海外史料 キリシタン史は日本史でありながら、研究の史料は主として海外の教会史料に依存しなければならないという特異性がある。国内史料もあるが、それのみに拠ってキリシタン史を研究しようとすると、研究対象が著しく偏ってしまい、その全貌を見通すのは不可能だと言っても過言ではない。 わが […]

  • 広島県立文書館の大坂金蔵勘定帳のこと 大野瑞男(東洋大学名誉教授)

    『江戸幕府大坂金蔵勘定帳』(八木書店・史料纂集古記録編第191回配本・2017年6月刊行)を出版してすぐ、広島市にお住まいの三浦忍という方から電話を頂いた。そして同氏から安佐町郷土史研究会会報『ふるさと安佐』第八号(2017年7月1日)が送られてきた。氏は同研究会に所属されるとともに、近年は広島県立 […]

  • 合本の功罪【日本古書通信 編集長だより19】

    本誌上や、八木書店グループHPのコラム欄で入手した雑誌について度々書いてきたが、殆どが神田の古書市場もしくは即売会で購入したものだ。その出所はここ数年にわたり膨大な在庫整理をしてきた東京の老舗古本屋だ。通常では一気に揃えることが困難な雑誌が纏めて放出され、しかも、私が求める戦時中の俳句雑誌や、戦中か […]

  • 売る物なしのデパートで古書部開店 【紙魚の昔がたり12】

    (反町) 戦争の影響で用紙が極端に不足したから政府は消費を無理にも減らすために統合を強制した。紙は配給制ですから、数社が合併しなければ配給しないという指令を出したわけですね。  (八木) 東京へ出てきたが、神田のすずらん通り、東京堂のすぐ側にあった私の店は、留守を託した弟の福次郎が、田舎に帰る時に売 […]

  • あの作家は●月生まれだった<7月編>

    今月ご紹介する作家は、柳田国男・谷崎潤一郎・吉野秀雄の3名です。 柳田国男(やなぎた くにお) 明治8年7月31日(一八七五)生 昭和37年8月8日(一九六二)没 民俗学者、詩人。兵庫県生。東京帝国大学法科大学政治科卒。旧姓松岡。国文学者井上通泰の実弟。農商務省等の官吏を経て、東京朝日新聞社客員とな […]

  • 一人でも多くの人に読まれる学術書を目指して(国文学研究資料館名誉教授 武井協三)

    歌舞伎の実態解明を期して 『歌舞伎とは いかなる演劇か』という本を、八木書店より刊行していただくこととなった。これは、初期の歌舞伎の実態を解明することにより、歌舞伎という演劇の本質に迫ろうとした書物である。 本書は、研究者のみにとどまらず、評論家や演劇人、さらには演劇に興味を持つ一般の方々をも、読者 […]

  • 大東亜学術協会の雑誌「学海」―学徒動員と学問の間で苦悩する教師の内面【日本古書通信 編集長だより18】

    先日の東京古書会館の即売会で、秋田屋刊行の雑誌「学海」とその改題誌「学芸」13冊を購入した。昭和19年6月から昭和22年11月までのものだった。出版困難期の戦時中から終戦後まで大阪で出された文化総合誌である。ざっと中を見て京都大学、第三高等学校の教授助教授を主な執筆者とする雑誌であることは分かったが […]

  • 統制で「古書通信」廃刊 【紙魚の昔がたり11】

    (八木) 昭和二十一年の三月二十三日に博多着。二十四日に兵庫県明石の郷里に帰りました。ちょうどその頃は、農地解放といいまして、地主のもっていた田畠は、自作可能の分とある枠内の保有分だけを残して、その他の全部は、政府の命で耕作者に譲渡するように強制されました。私の応召する時に残して置いた金で、両親が田 […]

  • あの作家は●月生まれだった<6月編>

    今月ご紹介する作家は、 川端康成・荻原井泉水・新田次郎の3名です。 川端康成(かわばた やすなり) 明治32年6月14日(1899)生 昭和47年4月16日(1972)没 小説家。大阪市北区此花町生。東大国文科卒。 横光利一らと同人雑誌『文藝時代』を創刊。 西欧の前衛的な文学潮流を取り入れた、新感覚 […]

  • 時代を写すスポーツヒーロー【日本古書通信 編集長だより17】

    写真は、朝日新聞社が発行していた「大相撲画報」の昭和35年2月と5月刊行の通巻29号と30号である。春場所と五月場所特集で今から57年前の雑誌だ。サイズはB4判で50ページ、カラーは表紙だけ。新聞社の雑誌だからタブロイド判の輪転機印刷かと思ったが、正確にB4判である。いわゆるグラフ雑誌で、昔の「朝日 […]

  • 企画展「秋聲全集物語」『徳田秋聲全集』記念鼎談報告(抄)

    本コラムは、徳田秋声記念館発行『夢香山』平成29年3月20日より転載いたしました。 http://www.kanazawa-museum.jp/shusei/mukouyama/pdf/mukouyama_09.pdf 平成28年11月12日(土)、企画展「秋聲全集物語」にちなみ、『徳田秋聲全集』の […]