製本・造本【活版印刷の基礎知識10・最終回】

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  • 製本・造本【活版印刷の基礎知識10・最終回】

    書籍・雑誌を、最終的に仕上げて、取次などの流通ルートに納品するのは製本所の仕事である。 大規模な印刷会社であれば、製本部門をもっている。 製本の様式は、大きくは、上製本と並製本の二つに分かれる。 その違いは、製本の製作工程による。 並製本は、本文・見返し・扉と表紙などを組み立てた後に、規格の寸法に断 […]

  • 象嵌(ぞうがん)【活版印刷の基礎知識9】

    印刷後に誤植が見つかった場合や、増刷時に加筆訂正しなければならない場合、「象嵌(ぞうがん)」という手法で、版を訂正することがある。 鉛版の誤植・訂正部分を切り込んで、活字を埋め込み、その状態で紙型に取り直し、改めて鉛版を作る。 数字分の訂正や文字数が変更になった場合は、正しい文字も含めて一行単位、段 […]

  • 印刷について【活版印刷の基礎知識8】

    印刷所内で校了になった組版をそのまま印刷することは直刷り(じかずり)と呼ばれる。 しかし、直刷りすることは稀で、その理由は二つある。 一つは増刷に備えて紙型(しけい)を作り、紙型に活字合金を流し込んだ版(鉛版・えんばん)を作成し、それを印刷機に掛ける。 紙型は複数回使用することができる。 もう一つの […]

  • 出版(編集)者の仕事【活版印刷の基礎知識7】

    組み上がり頁数が予定頁数に収まっているか確認し、次に原稿と校正刷りの文字を一字一字見比べ、誤字・脱字・指定と異なる点がないかを見る校正(原稿引き合わせ)を行う。 校正の要は、決して文章を読むのではなく文字を見比べることにある。 原稿と違っている場合は校正記号に準拠した訂正指示を入朱した後、今度はその […]

  • 印刷所の仕事4 校正出校【活版印刷の基礎知識6】

    組み上がった頁は、校正刷り専用の小型印刷機(校正機)を使って、通常二頁分が一枚の紙に印刷される。 活版印刷所の場合、印刷所内部の校正者によって校正(内校)され、文選・植字段階での間違いは訂正される。 ストックが切れている活字は、再校時に組み入れるための手配がなされる。 その際、在庫のない活字は文字面 […]

  • 印刷所の仕事3 植字(しょくじ・ちょくじ)【活版印刷の基礎知識5】

    植字工は、文選工から廻ってきた文選箱の漢字と植字台に備え付けられている句読点や括弧類の、いわゆる約物を併せて拾って組版する。 「ステッチ」と呼ばれる鍵型の道具を左手に持ち、一字一字活字を並べ、一行毎にインテルと呼ばれる行間用の薄い金属を入れ込み、字間を空ける場合はクワタと呼ばれる金属を挟み込む。 一 […]

  • 印刷所の仕事2 活字と文選【活版印刷の基礎知識4】

    活字は、鉛を主としてスズ・アンチモンとをまぜた合金を母型に流し込んで作られる。 それほど硬い金属ではない。 形状は24ミリ弱の統一された寸法の直方体で、文字のない対面は、ゲタ(〓)として使われる。 文選工や植字工が活字の天地(上下)を間違えないように工夫された「ネッキ」と呼ばれるくぼみがあり、この面 […]

  • 印刷所の仕事1 作業工程【活版印刷の基礎知識3】

    入稿された原稿の印刷所での作業工程は、 文選→植字→校正出校→赤字訂正→印刷→検品→製本所へ納品 というのが基本である。 校正作業は通常、3回繰り返されるのが基本で、印刷工程に進む。 4回以上は念校、念々校と呼び、追加料金が請求されることがある。 雑誌の場合は、時間の制約が書籍より厳しいため、そのか […]

  • 原稿受領から印刷所入稿まで【活版印刷の基礎知識2】

    原稿は、出版者(社)から著者に依頼するもの、著者が出版社に持ち込むもの、懸賞応募などの投稿原稿などがある。 原稿と企画決定は前後することがあるが、いずれにせよ、出版社内で企画決定されたもののみ、印刷所・製本所・取次配本・書店販売(現在、これを出版界では正規ルートと呼ぶ)という順序で、読者の手に渡るこ […]

  • 活版印刷術から印刷産業へ【活版印刷の基礎知識1】

    近代日本に於ける西洋式活版印刷術の起源は1848年(嘉永元)、本木昌造がオランダ船から鉛活字と鉄製手引き印刷機を購入したことに始まり、その後、普及・発展して1890年(明治23)には「東京活版印刷業組合」が参加企業百社によって組織されるに至る。 わずか30年ほどで、活版印刷は、個人の技としての「術」 […]