コラム

本コラム欄では、八木書店の出版物に関わる紹介文や、『日本古書通信』編集長の日記、会社の歴史などを掲載いたします。ぜひご覧ください。

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  • オールカラーの『源氏物語』―尾州家河内本と池田本―(宮川葉子・日本古典文学)

    ●尾州家河内本の輪読会 6年かかって全巻読了、近々竟宴を計画している。『尾州家河内本 源氏物語』(八木書店・2010年12月から、隔月、2013年12月まで配本。全10巻。オールカラーの影印複製)をテキストにしてのそれであった。 2010年12月、私は「河内本源氏物語を読む会」というささやかな同好会 […]

  • 組合が古書相場公開禁止 【紙魚の昔がたり7】

    (八木) 反町さんとか、文求堂さん、その他大勢の方が大変心配して下さって、いろいろ尽力応援して下さった。地方の同業からずいぶん沢山手紙や電話で激励して頂いたんですが、結局組合は、総会にもかけずに、決議一本で、公開を禁ずという断を下しちゃった。仕方ないから、東京の相場欄の部分は、相場だけを白紙にした号 […]

  • 安永2年(1773)加賀藩前田家江戸屋敷の歌舞伎番付【古記録拾い読み4】

    かぶき者(傾奇者、歌舞伎者)とは、戦国時代末期から江戸時代初期…特に慶長年間から寛永年間(1596~1643)にかけて、江戸や京都などで流行した…異風を好み、派手な身なりをして、常識を逸脱した行動に走る者たちのことをいいます。当時、異形・異様な風体が「かぶきたるさま」として流行したようです。加賀百万 […]

  • awkの使い方【文学・歴史資料のデジタル加工入門8】 (木越 治)

    前回の日記ファイルを作成する作業では、エクセルにGoogle Calendarのデータを取りこみ(この作業はオンラインサービスを利用)、そのあと、エディターを使ってバッチファイルを作成して、日記ファイルを作り上げるという手順を踏んだ。 今回は、カレンダーのデータから日記ファイルを作る段階で、awkを […]

  • 橋本健吉(北園克衛)大正11~12年の詩3編【日本古書通信 編集長だより13】

    昨年の日本古書通信4月号に「編集長古本雑記4 大正12年8月発表の北園克衛の詩」というコラムを掲載した。2005年1月号にも、大正13年の「文章倶楽部」や大正14年の「世界詩人」に橋本健吉名で発表した詩作品を紹介したが、それに先立つ大正12年8月号「鹿火屋」掲載の「死」という作品を紹介したものだ。関 […]

  • 茶聖・千利休の妻女を蛇責めする石田三成【古記録拾い読み3】

    蛇責めの刑は、古代中国の暴君として知られる殷の紂王が考案した残酷な刑の一つで、樽の中に罪人と一緒に多数の蛇を入れて蓋をするという刑です。この樽に酒を入れると、蛇はさらに暴れるという残忍なもののようです。 江戸中期に著された『絵本太閤記』には、「千利休の妻女が石田三成によって蛇責めの刑に処せられた」と […]

  • 明治大学入学、有力教授達を識る 【紙魚の昔がたり6】

    (郡田純一) 第一号は何年ですか。 (八木) 昭和九年ですね。一月二十五日号です。滑り出しよくやっているうちに、私自身商業学校しか出てないもんですから、編集や執筆に力が足りない。そこで明治大学の新聞学部に入りました。新聞学部は大学の卒業生じゃないと入れない学部なんです。実は佐々木さんといって反町さん […]

  • パソコンで日記を書くために【文学・歴史資料のデジタル加工入門7】 (木越 治)

    ●日記について かなり長い間、日記を書いてきた。 小学校の時には絵日記などを書いていたはずだが、絵が苦手だったせいかあまり記憶にない。 もし残っていたらよい記念になるだろうと思うのは、中学一年生の夏休みと冬休みに書いた日記である。クラス担任の理科の先生が出した宿題に「日記を書くこと」があり(たぶん義 […]

  • 俳句雑誌に見る明治~昭和初期地方文化の豊かさ【日本古書通信 編集長だより12】

    先日、『三河に岩瀬文庫あり―図書館の原点を考える』(塩村耕編・風媒社)が刊行された。西尾市立岩瀬文庫のガイドブック(ブックレット)であるが、サブタイトルにある通り、様々な要因により揺れ動く現在の図書館の問題を、私設図書館として出発した岩瀬弥助創設の岩瀬文庫の歩みから考えてみようという趣旨を含んでいる […]

  • 『日本古書通信』の創刊 【紙魚の昔がたり5】

    (八木) 今だから言うんですが、実は日本古書通信社は、始めは反町さんと私と二人の協同出資でした。資金面でも応援をしてもらったわけです。私が六五〇円出し、反町さんから三五〇円出していただいて、一〇〇〇円の資本で始めたのです。通信の送り先として、全国の組合加入の古本屋の名簿と、沼津の古典社から出ていた古 […]

  • オンラインストレージ・サービスの話 【文学・歴史資料のデジタル加工入門6】 (木越 治)

    ●オンラインストレージ・サービス利用体験 オンラインストレージサービス(クラウドストレージの名称もあるが、いまはこの名称で統一する)のことは、この連載でも何回か触れているが、近年とみに発達のいちじるしい分野である。また、自宅や職場以外でもwi-fiに容易にアクセスできるようになってきているので、使い […]

  • 宮沢賢治 菊の俳句短冊【日本古書通信 編集長だより11】

    30年近くも前の、昭和63年明治古典会七夕市に、啄木の短冊「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」が出品され、真贋をめぐりテレビのニュースにもなったことがある。この件については、故八木福次郎が「啄木の短冊をめぐって」と題し詳しく書いている(『古本便利帖』収録)。その記事によれば、啄木の間 […]

  • 「大阪古本通信」を譲り受ける 【紙魚の昔がたり4】

    (八木) 昭和七年頃から、大阪にプリント刷の『大阪古本通信』という相場ニュースの小誌が出来まして、そこで東京のニュースが欲しいという話で、これも反町さんのご紹介で、君、送ってやったらどうかということで送りました。他にも二、三人に頼んであったようですが、私が最も多かったでしょう。 (反町) 富樫栄治と […]

  • 事典以後へ開ける「知」の世界の可能性ー刺激的な論考、四六の作品データ、資料篇ー(東洋大学 和田博文)

    事典という言葉に無機的な印象を抱く人は多いだろう。しかし事典制作の現場に立ち会うと、その先に未知の何かが生まれてくるという予感を抱くことがある。事典は単一の方法で編まれていない。どのような事項や事柄を、どのように組織するのかによって、事典という通路の先に開けてくる、「知」の世界の可能性は異なっている […]

  • 色校正裏話【高精細カラー版の製作現場2】

    今回のテーマは、製版と印刷の工程に関わる「色校正」のお話です。   藍と紫の打曇紙 新天理図書館善本叢書第3期『源氏物語 池田本』の原本(鎌倉末写)には、各冊毎に藍と紫の打曇紙の表紙がつけられており、室町期の後補表紙とみられています。今回、上記第3回配本分の色校正の一例として、その藍の色味 […]