-
柳澤吉保を知る
2022/06/8
柳澤吉保を知る 第12回: 吉保の側室達―(三)4人の側室とその子女達(付)養女達―(宮川葉子)(その1)
はじめに コラム第5回~第7回で、吉保側室飯塚染子と正親町町子を見た。 第8回~第11回は、吉保の武田信玄への思いを133回忌執行に探り、吉保の寿影3本を中心に、甲斐源氏末裔としての吉保・吉里父子が故郷に飾った錦を追った。 今回は、第7回までで沙汰止みの吉保側室に戻り、染子・町子以外の4側室とその子 […]
-
『新皇居行幸年表』編集余滴
2022/06/3
江戸時代の朝覲行幸―『新皇居行幸年表』編集余滴1(詫間直樹)
この度刊行した『新皇居行幸年表』では、書名の通り皇居の変遷に加え行幸の事例についても確認できる限り採録しているが、全時代を通覧することで新たな課題が見つかることもある。ここでは、これまで十分に知られていない江戸時代の朝覲(ちようきん)行幸について述べることとしたい。朝覲行幸とは、天皇が太上天皇(上皇 […]
-
やさしい茶の歴史
2022/05/25
やさしい茶の歴史(六)(橋本素子)
北斗供の茶――茶は「仙薬」 今回は、院政期以降、密教の流行により盛んにおこなわれるようになった私的修法である、北斗供と御影供について見ていこう。 まず北斗供である。これは本尊として星曼荼羅(北斗曼荼羅)を掛け、息災や延命を祈る修法である。陰陽道や道教とも関係する。まず平安時代中期には、本命星(一生変 […]
-
出版部
2022/05/9
古代史書の通史を目指して―『日本古代史書研究』のよみどころ―(関根 淳)
六国史以前の史書と古事記偽書説 これまで、日本古代の史書に関する研究は六国史が主で、それ以前の史書にはなかなか光が当たらなかった。今回、上梓した『日本古代史書研究』はこれまで十分に検討されてこなかった六国史以前の史書の実像を探り、そのなかで『古事記』を1つの史書としてとらえ直している。そして、そこか […]
-
やさしい茶の歴史
2022/05/9
やさしい茶の歴史(五)(橋本素子)
仏教儀礼の種類と茶 今回は、入唐僧によって持ち帰られたものをもとに日本で行われた、平安時代の仏教儀礼などにおいて、茶を使う様子を見ていきたい。 仏教儀礼はその内容から、10世紀半ばまでの①護国思想の顕教儀礼、②護国思想の密教儀礼、摂関期以降加わる③私的な顕教儀礼、④私的な密教修法などが見られる(『王 […]
-
柳澤吉保を知る
2022/04/26
柳澤吉保を知る 第11回: 柳澤家と甲斐国―3本の寿影(その三)永慶寺本―(宮川葉子)
はじめに 柳澤吉保を知る第10回では、韮崎市常光寺が所蔵する吉保寿影を見た。元禄15年(1702)に狩野常信に描かせた3寿影のうちの1本である。 今回は大和郡山市永慶寺に奉納された1本を辿るが、少々複雑な事情が絡むため、稿が長びき、コラムの概念を逸脱するのをお断りしておきたい。 永慶寺本は『楽只堂年 […]
-
出版部
2022/04/16
キリシタン文献をMissionary Linguistics(宣教に伴う言語学)の視点から読み解く―『キリシタン語学入門』の刊行―(岸本恵実・白井純)
イエズス会の宣教とキリシタン版 いまから400年ほどまえの16世紀後半から17世紀前半にかけて、信長・秀吉・家康の活躍したキリシタン時代は大航海時代のただなかにあった。ポルトガルやスペインが世界各地に版図を拡大し、商人や宣教師がアフリカ・アジア・アメリカ大陸で活動するその時代、宣教師たちはカトリック […]
-
やさしい茶の歴史
2022/04/6
やさしい茶の歴史(四)(橋本素子)
入唐僧と喫茶文化 第1回に述べた平安時代前期の永忠・最澄・空海等のあとも、唐風喫茶文化は、何度もさまざまな人々によって持ち帰られたものと見られる。 そこで今回は、視点を国外に向け、中国の唐に留学した僧侶「入唐僧」が、唐風喫茶文化をどのような場面で体験したのか、平安時代前期の円仁と中期の円珍の事例を見 […]
-
柳澤吉保を知る
2022/03/10
柳澤吉保を知る 第10回: 柳澤家と甲斐国―3本の寿影(その二)常光寺本―(宮川葉子)
はじめに 柳澤吉保を知る第9回では、甲府市一蓮寺本吉保寿影を辿った。ここに言う寿影とは、吉保が元禄15年(1702)年に狩野常信に描かせ、翌16年8月26日に画賛を書き入れた3本の生前画像のことである(『楽只堂年録』第4、139頁)。 3本は各々、一蓮寺(甲府市)・常光寺(韮崎市)・永慶寺(大和郡山 […]
-
やさしい茶の歴史
2022/03/10
やさしい茶の歴史(三)(橋本素子)
『江家次第』に見る「季御読経」の茶 今回は、平安時代、宮中における仏教行事である「季御読経(きのみどきょう)」において、引き茶として振る舞われた茶が、どのようにして飲まれていたのかを見ていく。 なお、儀礼は毎回判で押したように同じことを繰り返すとは限らない。むしろ、その時その時の事情で変わるものと捉 […]
-
出版部
2022/02/22
須恵器は何故受容され消滅したのか―須恵器の歴史をたどる―(渡辺一)
須恵器とはいかなる焼き物か 須恵器(すえき)は日本で最初の焼き物です。縄文土器以来の野焼き(覆焼きがより正確)と違って、斜面に穴(ないし溝)を掘ってトンネル状にした窖窯(あながま)で焼かれてつくられた土器です。窯の形や大きさは時代ごとに違いますが、大きさはだいたい全長6~8m、地面からの深さは1~2 […]
-
やさしい茶の歴史
2022/02/16
やさしい茶の歴史(二)(橋本素子)
日本最古の茶園・大内裏茶園 前回、弘仁6年(815)6月3日、嵯峨天皇は、畿内等で茶を植え、それを毎年献上するように命じたが、実際にそれが行われたかどうかわからないと書いた。また、永忠・最澄・空海ら入唐僧が、帰国後茶をどのように調達していたのかわからないとも書いた。 そのような中で唯一、嵯峨天皇の命 […]
-
柳澤吉保を知る
2022/02/3
柳澤吉保を知る 第9回:柳澤家と甲斐国 ―3本の寿影(その一)一蓮寺本―(宮川葉子)
はじめに 柳澤吉保を知るの第8回では、吉保主催の武田信玄133遠忌を中心に、吉保の信玄への思いを辿った。信玄生誕500年記念として甲州市の恵林寺で開催された講演会(2021年12月8日)の活字化である。 本稿はその拾遺にあたる。甲府市の一蓮寺に奉納された吉保寿影を手掛かりに、吉保の甲斐国での立ち位置 […]
-
やさしい茶の歴史
2022/02/3
やさしい茶の歴史(一)(橋本素子)
喫茶文化史とは何か これまで、茶の歴史を扱う分野は、「茶道史」や農業史のなかの「茶業史」であった。特に茶道史では、千利休が「茶の湯」を大成するまでのひとすじの流れを描くものであった。しかし、その流れから外れる事柄は、「茶の湯」の通史に無理に引き付けて理解されたり、逆に全く評価されなかったりと、フラッ […]
-
出版部
2022/01/12
『上皇と法皇の歴史 仙洞年代記』の魅力(槇道雄)
院政時代に限らず、歴代上皇・法皇の歴史や院政形態の全体像をわかりやすく解説した年代記を発刊。著者がその読みどころを紹介。 なぜ「天皇」の読み仮名は「てんこう」ではないのか? 今日、「天皇」を「てんこう」と読むことは通常ありえない。なぜならば、マスコミなどを通して、あらゆる機会に「天皇」は「てんのう」 […]