コラム

本コラム欄では、八木書店の出版物に関わる紹介文や、『日本古書通信』編集長の日記、会社の歴史などを掲載いたします。ぜひご覧ください。

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  • 宮沢賢治 菊の俳句短冊【日本古書通信 編集長だより11】

    30年近くも前の、昭和63年明治古典会七夕市に、啄木の短冊「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」が出品され、真贋をめぐりテレビのニュースにもなったことがある。この件については、故八木福次郎が「啄木の短冊をめぐって」と題し詳しく書いている(『古本便利帖』収録)。その記事によれば、啄木の間 […]

  • 「大阪古本通信」を譲り受ける 【紙魚の昔がたり4】

    (八木) 昭和七年頃から、大阪にプリント刷の『大阪古本通信』という相場ニュースの小誌が出来まして、そこで東京のニュースが欲しいという話で、これも反町さんのご紹介で、君、送ってやったらどうかということで送りました。他にも二、三人に頼んであったようですが、私が最も多かったでしょう。 (反町) 富樫栄治と […]

  • 事典以後へ開ける「知」の世界の可能性ー刺激的な論考、四六の作品データ、資料篇ー(東洋大学 和田博文)

    事典という言葉に無機的な印象を抱く人は多いだろう。しかし事典制作の現場に立ち会うと、その先に未知の何かが生まれてくるという予感を抱くことがある。事典は単一の方法で編まれていない。どのような事項や事柄を、どのように組織するのかによって、事典という通路の先に開けてくる、「知」の世界の可能性は異なっている […]

  • 色校正裏話【高精細カラー版の製作現場2】

    今回のテーマは、製版と印刷の工程に関わる「色校正」のお話です。   藍と紫の打曇紙 新天理図書館善本叢書第3期『源氏物語 池田本』の原本(鎌倉末写)には、各冊毎に藍と紫の打曇紙の表紙がつけられており、室町期の後補表紙とみられています。今回、上記第3回配本分の色校正の一例として、その藍の色味 […]

  • MS-DOSでできること・その3「削除系コマンドの使用法とバックアップ対策について」 【文学・歴史資料のデジタル加工入門5】 (木越 治)

    ●削除系コマンドについて MS-DOS の削除系のコマンドは、「del」と「rd」である。「del」はファイルの削除、「rd」はフォルダを削除するときに用いる。 まず、「del」コマンドで、ワイルドカードを利用した例を示す。 del *.txt (拡張子txt のファイルをすべて削除) del *. […]

  • 戦後版『女性改造』の休刊について【日本古書通信 編集長だより10】

    既報の通り「日本古書通信」11月、12月号で「作家と女性雑誌」を特集する。 取り上げる雑誌と執筆者は以下の予定である。 11月号 『婦人公論』と室生犀星(九里順子) 『婦女界』と菊池寛(掛野剛史) 『婦人戦旗』・『働く婦人』と中野鈴子(大﨑哲人) 『婦人之友』と徳田秋聲(薮田由梨) 12月号 『新女 […]

  • 『近代歌舞伎年表』と国立劇場開場50周年(玉川大学 法月敏彦)

    はしがき 先日、2016年9月28日、独立行政法人日本芸術文化振興会国立劇場(以下、国立劇場)では、皇太子殿下同妃殿下のご来臨を賜り、盛大に「国立劇場開場50周年記念式典」が挙行された。 国立劇場は、1956年の文化財保護委員会(文化庁の前身)による設立基本方針の答申を経て64年8月に起工。66年7 […]

  • 元禄大地震【古記録拾い読み2】

    前回に続き、今回も地震の記事を…… 元禄16年(1703)11月23日未明、関東地方を襲った「元禄大地震」の記事を紹介する。その震源は、相模トラフの房総半島南端にあたる千葉県の野島崎で、安房(千葉県南部)や相模(神奈川県)の最大震度は、7と推定されている。大正12年(1923)に起きた、いわゆる「関 […]

  • 影印出版の舞台裏へようこそ 【高精細カラー版の製作現場1】

    八木書店の高精細カラー版出版物が作られる過程を、「尊経閣善本影印集成」の製作現場を例として見学ツアー形式でご紹介いたします! 1)こだわりの原本撮影 影印版は写真原稿が命! 原稿となる写真が影印出版に適したものでないと、高精細カラー版は実現できません。では、影印出版に適した写真原稿とは? カメラの精 […]

  • 製本・造本【活版印刷の基礎知識10・最終回】

    書籍・雑誌を、最終的に仕上げて、取次などの流通ルートに納品するのは製本所の仕事である。 大規模な印刷会社であれば、製本部門をもっている。 製本の様式は、大きくは、上製本と並製本の二つに分かれる。 その違いは、製本の製作工程による。 並製本は、本文・見返し・扉と表紙などを組み立てた後に、規格の寸法に断 […]

  • 一誠堂での店員生活 【紙魚の昔がたり3】

    (八木) ついでですから、一誠堂の、その時分の生活を話しますと、朝七時に起きまして、清掃をして、前日に買ってきた本を、反町さんの机の上に持ってきて、値段付けして貰って、店の棚へ納める。前の日に買ってきたものは、その夜十時に閉店してから、みんな集まりまして、反町さんが中心になって、この本は二円とか、一 […]

  • 『短歌研究』昭和20年第4号―疎開という名の難民【日本古書通信 編集長だより9】

    日本古書通信10月号で、過酷な脳内出血から復活した編集者・中嶋廣さんが、井上卓弥著『満洲難民―三八度線に阻まれた命』(幻冬舎)を紹介している(「一身にして二世を経る」2)。同書は中嶋さんが私淑していた編集者・故鷲尾賢也さんを経て彼が編集を進めていたが、急な病気で幻冬舎の中嶋さんを慕う編集者が継承、出 […]

  • MS-DOSでできること・その2「拡張子・ワイルドカードとバッチファイルについて」 【文学・歴史資料のデジタル加工入門4】 (木越 治)

    ●ファイル操作のためのコマンド ファイル操作で一番多い作業は、コピー・移動・削除、それと名前の変更だろう。 MS-DOS でこれにあたるコマンドは、 コピー copy または xcopy 移動  move 削除  del  (deleteの略) 名前の変更  ren (renameの略) この他に、 […]

  • 象嵌(ぞうがん)【活版印刷の基礎知識9】

    印刷後に誤植が見つかった場合や、増刷時に加筆訂正しなければならない場合、「象嵌(ぞうがん)」という手法で、版を訂正することがある。 鉛版の誤植・訂正部分を切り込んで、活字を埋め込み、その状態で紙型に取り直し、改めて鉛版を作る。 数字分の訂正や文字数が変更になった場合は、正しい文字も含めて一行単位、段 […]

  • 若狭湾の大地震【古記録拾い読み1】

    1週間ほど前の9月1日は「防災の日」。むろん、今から約90年前の1923年に発生した関東大震災にちなんだものだ。最近、編集した書籍の中から印象に残った大地震の記事を紹介する。 ●『兼見卿記』天正13年(1585)11月29日条(史料纂集古記録編 第173回配本 兼見卿記3所収) 子刻大地震、屋宅既ユ […]