影印出版の舞台裏へようこそ 【高精細カラー版の製作現場1】
八木書店の高精細カラー版出版物が作られる過程を、「尊経閣善本影印集成」の製作現場を例として見学ツアー形式でご紹介いたします!
1)こだわりの原本撮影
原稿となる写真が影印出版に適したものでないと、高精細カラー版は実現できません。では、影印出版に適した写真原稿とは? カメラの精度とカメラマンの撮影技術が高いことはもちろんですが、影印仕様に特化した様々なポイントがあります。
①高透明度のガラス版を使用し、撮影原本の水平を維持
②左右にストロボ光源を配した二投光式で均一なライティング
③頁毎のトリミングなど実際の仕上がりを想定したカット割り
より高精度な影印出版の実現のために、八木書店では編集担当者の立ち会いのもと、影印出版に最適な原本の写真撮影を行います。
2)レイアウトだって気を抜きません
本を読みやすくするために、組版(レイアウト)は大切な作業です。八木書店ではInDsignという組版ソフトを使い、影印本文のトリミング、柱・丁付・紙数等の割付を行い、印刷所へデータ入稿します。
影印本文各頁の柱には、書名・巻次・年月日等を掲出します。巻子本の場合は紙数を、冊子本の場合は丁付を本文下欄に表示します。その他、裏書がある場合は本文と相互対照できるよう頭注表示するなど、利用の便を図ります。トリミングには細心の注意を払い、巻子本の場合は両端行を前後頁で重複させて、原本の連続を確認できるようにします。
3)最新技術&プロによる製版・印刷
影印出版に欠かせないのが「製版」の技術です。印刷を担当する奈良・天理時報社では、1971年刊行開始の旧「天理図書館善本叢書」以来、数十年にわたり培ってきたノウハウをもとに製版します。現在、最新の製版システムであるイクオス・スーパーセル(260線)を採用しています。
高精細カラー版で肝となるのが、原本との色合わせ。八木書店の影印版では、色校正は「本機校正」つまり実際の印刷機・印刷用紙で印刷した校正紙で点検し、原本との照合を数度行います。
印刷工程には編集者が立ち会い、最終調整で刷り出しを確認をしたうえで、実際の印刷を行います。印刷機は最新のハイブリッドUVシステムを採用。速乾性があり、色合わせの判断・調整が格段に向上しました。
4)職人技を駆使した製本
影印出版では、図書館・研究者など長年の連用に耐える本作りが欠かせません。そのために糸かがり、上製クロス装とし、堅牢にして日常の連用・長期保存に耐える製本とします。
製本は特殊製本を手がける博勝堂が担当。A4判などの大型判、横本など特殊な製本では、熟練の手作業が必要となります。
5)長い工程を経て完成です! 美しい版面を是非ご堪能ください
*八木書店の高精細カラー版出版物の詳細、ご購入は以下から*
・新天理図書館善本叢書
・尊経閣善本影印集成