需要層の問題 【反町茂雄「奈良絵本私考」5】

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  • 需要層の問題 【反町茂雄「奈良絵本私考」5】

    需要者がどの層だったかということは、直ちに商品の質と量に反映致します。上代及び中世前半の絵巻物とは違って、奈良絵本は、最初から大部分は商品として生産されたと考えられます。従ってここでは、誰が買ったか、という問題になります。 1)前期 前期において。先ず公家階級ではありません。これはハッキリ断定してよ […]

  • つくった人、描いた人たち  【反町茂雄「奈良絵本私考」4】

    1)前期(寛永以前) 少々武断的ですが、結論を先に記しますと、前期(寛永以前)においては、生産者は主として京都及び堺の扇屋、後期(寛永以後)では、生産者は主として京都の新興の書籍業者(出版・販売、及び一部分古書を兼業)だったのでしょう。 執筆したのは、前期には土佐派を学んだ画師、画扇描きの技工(職人 […]

  • 京と堺でも 【反町茂雄「奈良絵本私考」3】

    京都は8世紀末以来、当時までに700年近く文化の中心地でした。文学・美術。工芸に関するすべての文化財の、殆ど唯一と云ってもよい生産拠点であります。文字を書き絵を描く画家・工人は多く、巻物に或は冊子に装潢する経師も多い。全国の需要も、ここに向けられることは自然でしょう。 戦乱の時代においても、ここと全 […]

  • 奈良絵本のうまれたところ 【反町茂雄「奈良絵本私考」2】

    奈良絵本は文正(1466-1467)・大永(1521-1528)・天文(1532-1555)のころから、少しずつ段々に製作されたのだろうと考えますが、製作された土地は、奈良・京都・堺の三市及びその周辺であったと信じております。 江戸・大坂は、この時代には未だ興りません。鎌倉・山口は既に衰微しておりま […]

  • 奈良絵本の世界へようこそ 【反町茂雄「奈良絵本私考」1】

    アイルランド国の首都ダブリンに在る国立チェスター=ビーティー=ライブラリーの、日本の絵巻・絵入本の蒐集の内、特筆すべきものは奈良絵本であります。サー=A・C・ビーティーが大正6年に初めて日本を来訪した際に、これに注目して蒐集をはじめた理由の1つは、この人の多方面にわたるコレクションの内で、特に優秀と […]

  • 『草山要路会註』の版本について(下)【立正大学・古書資料館の世界 5回】(小此木敏明)

    1.41・42丁の改刻 前回、古書資料館が所蔵する28点の『草山要路会註』(以下『会註』)を、刊記や奥付などによって八つに分類し、刷りの古い順に番号を振った。①から④は今回も検討の対象となるため、以下に再掲しておく。 ① 刊記に「京都書林 (栗山彌兵衛/村上勘兵衛)」あり 2点(A04/77, 80 […]

  • 『草山要路会註』の版本について(上)【立正大学・古書資料館の世界 4回】(小此木敏明)

    1.『草山要路』と『草山要路会註』 古書資料館の蔵書の特長として、同じ版本を複数所蔵している点があげられる。今回は、特に所蔵が多い『草山要路会註(そうざんようろえちゅう)』(以下『会註』)を調査し、気付いたことをまとめてみた。『会註』は決して珍しい版本ではないが、数が揃えば色々と分かることもある。 […]

  • デジタル時代の研究者へ―研究史と参考図書―(浜田久美子)

    はじめに まずは、日本古代史の研究者に耳寄りな情報を提供したい。国立国会図書館デジタルコレクションで容易に閲覧できる古代史研究に有用な文献の紹介である。 A 令集解(清家本) B 朝日新聞社本六国史 続日本紀(上・下〈淳仁即位前紀~〉)、日本後紀(上・下〈逸文〉、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三 […]

  • 貞松文庫と採選亭版【立正大学・古書資料館の世界 3回】(小此木敏明)

    1.はじめに―貞松山蓮永寺について 今回は、古書資料館の文庫の話から始めたい。同館が所蔵する文庫のうち、最も数が多いのは貞松(みまつ)文庫だろう。貞松文庫は、静岡県静岡市葵区沓谷(くつのや)に現存する貞松山蓮永寺の旧蔵書である。蓮永寺は、日蓮の高弟であった日持が庵原(いはら)郡松野村に開いたとされる […]

  • 日本書紀の写本一覧と複製出版・Web公開をまとめてみた

    ■現存しない「原本」 日本の古代を知るためにもっとも重要な史料の一つが、『日本書紀』です。奈良時代の720年に成立した、いわゆる六国史(りっこくし)の第一にあたる歴史書で、本文全30巻と系図1巻とがあったとされます。本文、系図ともに奈良時代の原本は現存していませんが、本文の全30巻については後世の人 […]