奈良絵本の世界へようこそ 【反町茂雄「奈良絵本私考」1】

  • twitter
  • facebook
  • 奈良絵本の世界へようこそ 【反町茂雄「奈良絵本私考」1】

    アイルランド国の首都ダブリンに在る国立チェスター=ビーティー=ライブラリーの、日本の絵巻・絵入本の蒐集の内、特筆すべきものは奈良絵本であります。サー=A・C・ビーティーが大正6年に初めて日本を来訪した際に、これに注目して蒐集をはじめた理由の1つは、この人の多方面にわたるコレクションの内で、特に優秀と […]

  • 『草山要路会註』の版本について(下)【立正大学・古書資料館の世界 5回】(小此木敏明)

    1.41・42丁の改刻 前回、古書資料館が所蔵する28点の『草山要路会註』(以下『会註』)を、刊記や奥付などによって八つに分類し、刷りの古い順に番号を振った。①から④は今回も検討の対象となるため、以下に再掲しておく。 ① 刊記に「京都書林 (栗山彌兵衛/村上勘兵衛)」あり 2点(A04/77, 80 […]

  • 『草山要路会註』の版本について(上)【立正大学・古書資料館の世界 4回】(小此木敏明)

    1.『草山要路』と『草山要路会註』 古書資料館の蔵書の特長として、同じ版本を複数所蔵している点があげられる。今回は、特に所蔵が多い『草山要路会註(そうざんようろえちゅう)』(以下『会註』)を調査し、気付いたことをまとめてみた。『会註』は決して珍しい版本ではないが、数が揃えば色々と分かることもある。 […]

  • デジタル時代の研究者へ―研究史と参考図書―(浜田久美子)

    はじめに まずは、日本古代史の研究者に耳寄りな情報を提供したい。国立国会図書館デジタルコレクションで容易に閲覧できる古代史研究に有用な文献の紹介である。 A 令集解(清家本) B 朝日新聞社本六国史 続日本紀(上・下〈淳仁即位前紀~〉)、日本後紀(上・下〈逸文〉、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三 […]

  • 貞松文庫と採選亭版【立正大学・古書資料館の世界 3回】(小此木敏明)

    1.はじめに―貞松山蓮永寺について 今回は、古書資料館の文庫の話から始めたい。同館が所蔵する文庫のうち、最も数が多いのは貞松(みまつ)文庫だろう。貞松文庫は、静岡県静岡市葵区沓谷(くつのや)に現存する貞松山蓮永寺の旧蔵書である。蓮永寺は、日蓮の高弟であった日持が庵原(いはら)郡松野村に開いたとされる […]

  • 日本書紀の写本一覧と複製出版・Web公開をまとめてみた

    ■現存しない「原本」 日本の古代を知るためにもっとも重要な史料の一つが、『日本書紀』です。奈良時代の720年に成立した、いわゆる六国史(りっこくし)の第一にあたる歴史書で、本文全30巻と系図1巻とがあったとされます。本文、系図ともに奈良時代の原本は現存していませんが、本文の全30巻については後世の人 […]

  • 仏教学者・河口慧海の旧蔵書【立正大学・古書資料館の世界 2回】(小此木敏明)

    1.河口慧海の旧蔵書 第1回で土屋鳳洲について触れた際、河口慧海(えかい)の少年期の師、という紹介の仕方をした。河口慧海は近代の仏教学者で、最初にチベットに入国した日本人としても知名度が高い。そのため、鳳洲を慧海の師として紹介したのだが、慧海の名前が思い浮かんだのには別の理由がある。 実は、立正大学 […]

  • 観客の目線と感動を求めて(桜美林大学教授 法月敏彦)

    1.「観客の目線と感動」 この度、長年の夢であった論文集『演劇研究の核心 ―人形浄瑠璃・歌舞伎から現代演劇―』を出版していただけることになりました。この本は、2017年3月に定年退職した玉川大学勤務40年間の研究成果をまとめたものです。 その要点は「観客の目線と感動」という言葉に集約できると思います […]

  • 日本古代の街路樹(中村太一・日本古代史)

    1 都城の街路樹 2月、鳥取県埋蔵文化財センターが、青谷横木遺跡(鳥取市青谷町)で見つかった古代山陰道跡に柳の街路樹が植えられていたことが判明したという報道発表を行い、関係者の間で大きな話題となった(私が事務局長を務める古代交通研究会でも、6月24・25日開催の大会で同センターの坂本嘉和氏に急遽ご報 […]

  • 書入れが語る明治文人の交流 【立正大学・古書資料館の世界 1回】(小此木敏明)

    1 『晩晴楼詩鈔』の書入れ 今回から、さっそく古書資料館の本を紹介していきたい。初回ということで、何を紹介すればよいかとかなり悩んだ。前回も述べたが、おそらく、立正大学は仏教系の大学というイメージを持たれていると思う。仏教系の大学が収集する蔵書は、やはり仏教書が多い。古書資料館の蔵書も、仏教関係7割 […]