コラム

本コラム欄では、八木書店の出版物に関わる紹介文や、『日本古書通信』編集長の日記、会社の歴史などを掲載いたします。ぜひご覧ください。

  • twitter
  • facebook
  • 太閤検地と兵農分離 中世~近世のはざまで―土着武士は、いかに動いたか?―(神田 千里)

    「井戸村家文書」と研究史 「井戸村家文書」は長浜市歴史博物館に所蔵される、近江国坂田郡箕浦村の土豪井戸村家に伝来した文書群である。昭和10年代に原文書、及びそのうち330余通を筆写収録した『歴代古書年譜』三冊が共に市井に流出してしまった。滋賀県文化財保護審議会委員であった中村林一氏(故人)の努力で『 […]

  • リオ本『日葡辞書』の発見(白井純・広島大学大学院准教授)

    キリシタン版の辞書 キリシタン版は、16世紀後半から17世紀初頭にかけて日本で宣教活動を行ったイエズス会がヨーロッパから持ち込んだ金属活字印刷機によって出版した現存30余点の文献である。『日葡辞書』(1603-04年長崎刊)はイエズス会の日本語学習の成果を象徴する辞書で、32,000語に及ぶ日本語見 […]

  • 宮崎三昧氏の蔵書【洒竹文庫及び和田維四郎氏16・最終回】

    村口 その時分の事です、なかなか売り惜しみもしましたが、良い品物を売ったのは宮崎三昧さんでした。とにかく、この人は三十年間本を売って喰べていたんですからね。 ところでこの宮崎三昧という人は、私が間接に殺したようなものなんです。この人がいよいよ身体がいけなくなって来ると、無闇に妻君の事が気にかかって来 […]

  • 青柳の珍書会の思い出【洒竹文庫及び和田維四郎氏15】

    反町 珍書会の顔触れはどんな方ですか。 村口 そうですね、大久保紫香(62)・中川徳基・林若樹・加藤直種・高橋太華(63)・宮崎三昧(64)・水谷不倒・大野洒竹・岡田朝太郎(65)・清水晴風(66)等のお歴々の方々でした。 最初から仕舞いまでつづいたのが千葉鉱蔵・大久保紫香。この大久保紫香という人は […]

  • 中世の支配者は幕府だけではない!? 中世国家の運営を担う「天皇」と「太政官」(久水俊和)

    朝廷と幕府およぼす権限と機能 令和の代替わりにより、再び「天皇制」たる学術的分析概念が脚光を浴びている。戦後長らく、日本中世史のナラティブでは武士による封建国家が天皇を中心とした古代的国家を服従させたという「天皇制」の克服が基調であった。そのため、学術的関心では中世においても保持されていた律令制太政 […]

  • 鎌倉仏教史の空白を埋める事典(永井 晋)

    これまでの鎌倉仏教研究 鎌倉の仏教に関する事典といえば、貫達人・川副武胤著『鎌倉廃寺事典』(有隣堂 昭和55年)が今でも使いやすいだろう。ただ、この事典は「宗旨未詳」の寺院が多く、宗派を整理できていないものが多い。鎌倉仏教史が、鎌倉新仏教論の影響から抜け出せない時期を長く過ごしたことが影響していると […]

  • 岩瀬文庫の設立者、岩瀬弥助氏【洒竹文庫及び和田維四郎氏14】

    井上 先刻のお話の中に出た岩瀬さんが浅倉屋へお出での時分は、大概大晦日の夜来るのでした、現金をたくさん持って懐中を膨ませてやって来るのです。そうしてズーッと品物を見て自分で欲しいものだけを別に積んで、これだけでいくらだ、と言う、二千円と言えば千円と値切る、大抵半分位に値切る。値切り方が荒っぽいです。 […]

  • 新たなメディア環境への試行錯誤(茨城高等学校・中学校教諭 長谷部将司)

    情報を記憶し、記録する 国内はおろか世界中を巻き込むコロナウイルス。その影響で私の職場でも休校が続き、最近ではテレワークやオンライン学習への本格的な取り組みが求められている。このような対応はこの20数年で急速に進展したIT化により可能となった。私が大学生の頃はまだ電子メールや携帯電話も身近でなかった […]

  • 古代中世の老後・死後と財産相続(同志社大学嘱託講師 岩田真由子)

    老いた親を介護するのはだれか 「老い」は誰もが避けて通れない。老いた時、誰がその生活を支えるのか。 現在、日本における老人介護は、国家による介護保険制度が整えられており、家族に任せきりにするのではなく、第三者によるサポートシステムが導入されている。 ひるがえって古代ではどうだったのだろうか。国家はほ […]

  • オンライン授業に国立国会図書館電子展示会の活用を!(浜田久美子)

    新型コロナウィルスの感染が拡大するなか、多くの学校がオンライン授業を余儀なくされるであろう。教員は経験のないオンライン教材を短期間で作成しなければならない。そこで、大学、高校での授業に活用できるウェブサイトとして、国立国会図書館の「電子展示会」を紹介したい。 電子展示会はインターネットで自由に閲覧で […]

  • 聞く度毎に売価の変わる若林君【洒竹文庫及び和田維四郎氏13】

    村口 それはまああの通り若林という人は、朝から酒を飲んでいる人で、品物を買いに行って値段を訊いても一遍でそいつを買っちゃいけないといわれていた人です。ともかく一度値段を訊いて、それはそのままにして置いて、また何か他の物を見る。そうして少し経ってから前のやつを、おいくらでしたっけねと、とぼけて訊く。す […]

  • 磯部屋と山本亡羊の蔵書【洒竹文庫及び和田維四郎氏12】

    村口 私はそのことはよく知っておりますが、これとても大体が受売りです。それより私が直接関係はしなかったが、跡始末をつけてやった山本亡羊(50)の話ですが、この山本亡羊の物を磯部屋の亀吉が京都へ買いに行ったんです。 ところが向うでは門人が本屋の主人公と知ってかなかなか売ってくれない。売ってくれないもん […]

  • 宗家の蔵書【洒竹文庫及び和田維四郎氏11】

    諏訪 今までお扱いになった本の中で、外に何か珍本というようなものを一つ……。 村口 余り多く扱っておりますので一々憶えてはおりませんが、今まででございますと、京都へ行って一万円で買いました「礼記」の巻子本というようなものでしょうか。 しかし金高の大きな物は割合に儲かりません。「藤波文書」は十万円とい […]

  • 高精細カラー版で読む中世公家の自筆日記 『実躬卿記』の見どころ(菊地大樹・東京大学史料編纂所)

    鎌倉時代の公家日記を通覧 2019年5月より刊行の始まった『尊経閣善本影印集成』第九輯鎌倉室町古記録編のうち、67冊~70冊には、鎌倉時代中後期の中級貴族、三条(藤原)実躬(1264~1326頃)の日記『実躬卿記』自筆本23巻が紹介される。『実躬卿記』はほかに、武田科学振興財団などにも自筆本が所蔵さ […]

  • 和田氏の逝去【洒竹文庫及び和田維四郎氏10】

    村口 そうしますると、和田さんが大正九年十二月二十日にお亡くなりになりました。それと同時に私は岩崎文庫の御用も辞することになりました。 ところが和田さんの葬式がすんだ後で、高橋美章さんと私が呼ばれまして、「和田君が死んだから文庫の購入を止めるということは不合理であるから、今まで通りやって貰えまいか」 […]