短冊・トラウマ―『誹諧短冊手鑑』刊行に際して:後編 (奈良大学名誉教授 永井一彰)

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  • 短冊・トラウマ―『誹諧短冊手鑑』刊行に際して:後編 (奈良大学名誉教授 永井一彰)

    <「前編」はこちら> 本手鑑の資料的意義は、ほぼ次の三点に尽きる。 その一は、貞門・談林期の俳諧に関わった人々の第一級の筆跡資料であるということである。芭蕉が江戸談林宗匠の一人としてしか扱われていないという事実が象徴するように、俳諧史観が十分に成熟していない時代の限られた期間に、古筆鑑定に関わる人物 […]

  • 短冊・トラウマ―『誹諧短冊手鑑』刊行に際して:前編 (奈良大学名誉教授 永井一彰)

    話は四十年以上も前に遡るのだが、大学院博士後期課程に進んだ折、私は経済的な自立を迫られることになった。奨学金が当る目途もなく、選択としては高校の非常勤講師しかなかった。某私立男子高校の面接で「では四月から来ていただきましょう」ということになり、求められたのが健康診断書の提出である。その足で高校に隣接 […]

  • 薄田泣菫と近代画家 ―満谷国四郎・鹿子木孟郎・鏑木清方― (岡山大学 西山康一)

    *西山先生の前回コラム「近代の書簡翻刻の苦心と喜び」はこちら* 『薄田泣菫宛書簡集』第3巻は「文化人篇」ということで、思想家・演劇人・出版人など様々な分野の人物の書簡からなるのですが、その中でも画家の書簡が意外と多くあります。泣菫文庫全体で見ても画家の書簡は多く、これは一つには泣菫が詩集を出したり、 […]

  • 印刷所の仕事3 植字(しょくじ・ちょくじ)【活版印刷の基礎知識5】

    植字工は、文選工から廻ってきた文選箱の漢字と植字台に備え付けられている句読点や括弧類の、いわゆる約物を併せて拾って組版する。 「ステッチ」と呼ばれる鍵型の道具を左手に持ち、一字一字活字を並べ、一行毎にインテルと呼ばれる行間用の薄い金属を入れ込み、字間を空ける場合はクワタと呼ばれる金属を挟み込む。 一 […]

  • 印刷所の仕事2 活字と文選【活版印刷の基礎知識4】

    活字は、鉛を主としてスズ・アンチモンとをまぜた合金を母型に流し込んで作られる。 それほど硬い金属ではない。 形状は24ミリ弱の統一された寸法の直方体で、文字のない対面は、ゲタ(〓)として使われる。 文選工や植字工が活字の天地(上下)を間違えないように工夫された「ネッキ」と呼ばれるくぼみがあり、この面 […]

  • 史料の利用と保存のいま・むかし(京都市歴史資料館 井上幸治)

    平安時代といえば、和歌や十二単に代表される華麗な王朝文化であったり、藤原氏を中心とした権謀術策のうごめく政治史であったり、といったイメージが強いのではないでしょうか。 しかし実際に平安京で働いていた多くの人々は、そのような世界とは縁遠い存在でした。2月に刊行した拙著『古代中世の文書管理と官人』では、 […]

  • 近代の書簡翻刻の苦心と喜び (岡山大学 西山康一)

    『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 文化人篇』が、このたび刊行されました。 これで同書簡集は「作家篇」「詩歌人篇」に続き全3巻となり、完結となります。 編集に携わった身としては、とりあえず肩の荷が下りてほっとしています。 実際、ここまでたどり着くのは、たいへんな道のりでした。 倉敷市の呼びかけにより、薄田 […]

  • 印刷所の仕事1 作業工程【活版印刷の基礎知識3】

    入稿された原稿の印刷所での作業工程は、 文選→植字→校正出校→赤字訂正→印刷→検品→製本所へ納品 というのが基本である。 校正作業は通常、3回繰り返されるのが基本で、印刷工程に進む。 4回以上は念校、念々校と呼び、追加料金が請求されることがある。 雑誌の場合は、時間の制約が書籍より厳しいため、そのか […]

  • 千首和歌が仙洞官庫に永久保存! 文芸活動にいそしむ綱吉の側用人、柳沢吉保

    楽只堂年録 第5【史料纂集古記録編182回配本】 徳川第5代将軍綱吉の側用人、柳沢吉保(1658-1714)の公用日記、刊行! 本巻には、宝永元年(1704)正月から同2年3月までを収録しました。吉保47歳から48歳の年にあたります。 2月、吉保継嗣吉里が酒井忠挙女頼子と婚姻。吉里の新居では「松に多 […]

  • 自筆本『明月記』を補完する重要な史料「歌道事」を注釈!

      『明月記研究』14号を刊行いたしました。本号は、『明月記研究』刊行から20周年に当たる記念号になります。また、会の代表者である五味文彦先生の古稀・放送大学退官を記念して、会員より先生に感謝を込めて献呈する号でもあります。 今回の注釈では、一条兼良が『明月記』本文から和歌関係の事績を抜書 […]