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出版部

印刷所の仕事3 植字(しょくじ・ちょくじ)【活版印刷の基礎知識5】

植字工は、文選工から廻ってきた文選箱の漢字と植字台に備え付けられている句読点や括弧類の、いわゆる約物を併せて拾って組版する。

「ステッチ」と呼ばれる鍵型の道具を左手に持ち、一字一字活字を並べ、一行毎にインテルと呼ばれる行間用の薄い金属を入れ込み、字間を空ける場合はクワタと呼ばれる金属を挟み込む。

一頁が組み上がると四辺に木の枠をはめ、木綿製のくくり糸で縛り、固定する。

行間にルビや注番号を入れる場合、ルビの入る位置でインテルを切り、ルビ活字と行間の差分のインテルを入れ、行間を揃える。

大変、手間の掛かる作業であるので、ルビは原稿段階で入れるのが原則である。

 

原稿に振り仮名が記されていないのに、印刷物にルビがある場合、誰が入れたのだろうか?

出版者が、想定読者の年齢・学識を鑑みて、「総ルビ」「パラルビ」などと入稿時に指示し、植字工が自分の知識に任せて具体的なルビを組み付けたのである。

パラルビの場合は、作者、編集者が振り仮名をつける語の初出箇所に「以下パラルビ」と指示すれば、植字工が、読者が読み方を忘れた頃を適宜判断して、数頁あるいは、十数頁毎に自身の判断で入れた。

文選・組版職人の文字に対する知識は非常に高かったと言われていることの証左の一つであるだろう。

(出版部・T)

『近代文学草稿原稿研究事典』埋草(八木書店作成)より転載

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