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古書通信
2017/10/24
沖縄・末吉麦門冬の俳句【日本古書通信 編集長だより22】
昨年本誌8月号に、沖縄の新城栄徳さんが「バジルホール来琉200周年 来琉記を平和のサチバイ(先駆)に」をご寄稿下さった折、新城さんのお仕事の中に、明治大正期の沖縄のジャーナリストで俳人でもあった末吉麦門冬(1885~1924)に関するものがあるのを知った。新城さんが編集発行する「琉文手帖」2号(1 […]
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古書通信
2017/09/29
川柳研究「すげ笠」について【日本古書通信 編集長だより21】
先日の古書即売会で、愛知県犬山で発行されていた川柳研究誌「すげ笠」の昭和23年2月(第三巻二号)から昭和32年5月号(第十二巻五号)まで9年間71冊を購入した。初めてみる川柳誌だが、終戦直後の占領期からもはや戦後ではないと言われた時代まで、川柳史を概観できるのではないかと思ったのである。71冊あって […]
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古書通信
2017/08/28
二宮金次郎伝―「報徳記」「二宮翁夜話」ほか(上)【日本古書通信 編集長だより20】
二宮金次郎が最初に農村復興の仕法を実施した桜町(現・栃木県真岡市)が私の在所の隣町ということもあり、いつか詳しい伝記を読みたいと考えていたが、機会がなく何十年もたってしまった。 最近、日本の財政赤字が一千兆円を超し、歴代内閣も財政再建を第一目標に掲げるのに、赤字は増える一方で改善の目途はどうみても […]
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古書通信
2017/07/24
合本の功罪【日本古書通信 編集長だより19】
本誌上や、八木書店グループHPのコラム欄で入手した雑誌について度々書いてきたが、殆どが神田の古書市場もしくは即売会で購入したものだ。その出所はここ数年にわたり膨大な在庫整理をしてきた東京の老舗古本屋だ。通常では一気に揃えることが困難な雑誌が纏めて放出され、しかも、私が求める戦時中の俳句雑誌や、戦中か […]
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古書通信
2017/06/12
大東亜学術協会の雑誌「学海」―学徒動員と学問の間で苦悩する教師の内面【日本古書通信 編集長だより18】
先日の東京古書会館の即売会で、秋田屋刊行の雑誌「学海」とその改題誌「学芸」13冊を購入した。昭和19年6月から昭和22年11月までのものだった。出版困難期の戦時中から終戦後まで大阪で出された文化総合誌である。ざっと中を見て京都大学、第三高等学校の教授助教授を主な執筆者とする雑誌であることは分かったが […]
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古書通信
2017/05/18
時代を写すスポーツヒーロー【日本古書通信 編集長だより17】
写真は、朝日新聞社が発行していた「大相撲画報」の昭和35年2月と5月刊行の通巻29号と30号である。春場所と五月場所特集で今から57年前の雑誌だ。サイズはB4判で50ページ、カラーは表紙だけ。新聞社の雑誌だからタブロイド判の輪転機印刷かと思ったが、正確にB4判である。いわゆるグラフ雑誌で、昔の「朝日 […]
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古書通信
2017/04/21
室生犀星「或詩集の序詩」と水町京子主宰「遠つびと」【日本古書通信 編集長だより16】
「日本古書通信」4月号に、「露西亜評論」第二年八号(大正8年8月)に掲載された室生犀星のエッセイ「明るい烈しい情熱」を紹介した。調べた限りでは「全集」や『室生犀星文学年譜』(昭和57)には未収録の文章と思われた。全集逸文に出会うのは大抵偶然だが、不思議なもので、先日入手した水町京子主宰の短歌雑誌「遠 […]
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古書通信
2017/03/16
明治末期の「北米俳壇の沿革」【日本古書通信 編集長だより15】
「日本古書通信」3月号に「明治期の渡米案内書について」を執筆した。昨今話題となっている、アメリカの移民問題に因んで急遽書いたものだが、その後も、関連の文献が目に付く。今回紹介するのは、明治末期アメリカ日系人社会の俳句について書かれた文献である。 昨年7月20日、私はツイッター(古書通信編集部@)で、 […]
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古書通信
2017/02/20
実益雑誌『力之日本』―甲賀三郎「毒殺の話」と「警視庁特高課長毛利基氏」【日本古書通信 編集長だより14】
古書市場で二束の雑誌を落札した。その中に大正末から昭和12年にかけて出された経済雑誌が含まれていた。経済雑誌というよりは実業、金儲け雑誌という方が適切である。一つは後に明治大学商学部教授となる井関十二郎が主幹・社長を務めていた『実業界』(明治43年創刊)。これは宣伝や広告などの専門誌で、この分野で […]
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古書通信
2017/01/17
橋本健吉(北園克衛)大正11~12年の詩3編【日本古書通信 編集長だより13】
昨年の日本古書通信4月号に「編集長古本雑記4 大正12年8月発表の北園克衛の詩」というコラムを掲載した。2005年1月号にも、大正13年の「文章倶楽部」や大正14年の「世界詩人」に橋本健吉名で発表した詩作品を紹介したが、それに先立つ大正12年8月号「鹿火屋」掲載の「死」という作品を紹介したものだ。関 […]