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活版印刷の基礎知識

印刷所の仕事4 校正出校【活版印刷の基礎知識6】

組み上がった頁は、校正刷り専用の小型印刷機(校正機)を使って、通常二頁分が一枚の紙に印刷される。

活版印刷所の場合、印刷所内部の校正者によって校正(内校)され、文選・植字段階での間違いは訂正される。

ストックが切れている活字は、再校時に組み入れるための手配がなされる。

その際、在庫のない活字は文字面の対面を組み込む。これがゲタ(〓)である。

 

印刷所に母型がある場合で、追加で鋳造されない場合は、活字販売会社から購入する。

本文に使用される9ポ・8ポ活字は数本単位の販売。

見出しに使われる大型活字は、一本単位で販売されていた。

滅多に使われない文字は、新たに木に彫った木版活字を使用した。

印刷所の内校は、このような意図でなされた。

初校出校時に間に合わない活字でも、再校では入れられるように努めた。

初校校正刷りは、原稿と共に出版者に戻される。

校正刷りの出校部数は通常初校三通・再校二通・三校一通で通常、藁半紙のようなザラ紙で刷られていることが多かった。

活版印刷時代の校正刷りと現在の校正刷りとの一番の相違点は、印刷所内部での内校の質が変わった点にある。

活版時代は、前述の活字の有無と文選・植字上の間違いを自社で点検することにあった。

現在は、殆どの原稿が、テキスト入稿であるので文字の校正はせず、組み方が指定に適っているかを確認することが普通で、活版時代と同様の内校をした校正を出版者に届ける会社は稀である。

そのため、出版者の校正の注意点も、漢字の字面が似ているものの中心の校正から、同音異義語に対して注意を払う校正が主流となった。

(出版部・T)

『近代文学草稿原稿研究事典』埋草(八木書店作成)より転載

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