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活版印刷の基礎知識

原稿受領から印刷所入稿まで【活版印刷の基礎知識2】

原稿は、出版者(社)から著者に依頼するもの、著者が出版社に持ち込むもの、懸賞応募などの投稿原稿などがある。

原稿と企画決定は前後することがあるが、いずれにせよ、出版社内で企画決定されたもののみ、印刷所・製本所・取次配本・書店販売(現在、これを出版界では正規ルートと呼ぶ)という順序で、読者の手に渡ることになる。

出版者は、原稿が企画意図もしくは著者との事前の打ち合わせに適った内容であることと原稿量の二点をまず確認する。

場合によっては、企画を没にするか、書き直しを依頼することもある。

その後、出版者は原稿整理・組版指示を施し印刷所に入稿する。

原稿整理作業は、原稿用紙にナンバリングを振ることから始まり、誤字の訂正・内容上の矛盾の確認(校閲)・用字用語・見出しの整理などが含まれる。

組版指示は、想定読者の可読性を考慮した上で行われ、本文の字詰め行数および行間・使用活字、柱・ノンブルの指示や図版の大きさや挿入場所の指示などの作業だが、原稿整理と同時に行うのが普通であろう。

原稿をみると、タイトルや署名の右脇に数字が記されているものがある。これが使用活字の指示であり、細かい指定をしている草稿・原稿を見ることは少ない。

その理由は、書籍では、原稿入稿時に組版指示書を、雑誌では、台割と呼ばれる頁毎に何をどう掲載するかの指示書が用意されるのが普通であるからだ。

雑誌は、毎号ほぼ同様の組み方を踏襲するので、原稿には何頁のどの欄に載せるかを指示すれば、用が足りる。

原稿上に残る組版指示は例外的・特徴的な事柄であることが多いようだが、これらは、文芸ものの原稿の特徴かもしれない。

弊社が入稿する組版指示は、かなり詳細である。

(出版部・T)

『近代文学草稿原稿研究事典』埋草(八木書店作成)より転載

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