活版印刷の基礎知識
印刷について【活版印刷の基礎知識8】
印刷所内で校了になった組版をそのまま印刷することは直刷り(じかずり)と呼ばれる。
しかし、直刷りすることは稀で、その理由は二つある。
一つは増刷に備えて紙型(しけい)を作り、紙型に活字合金を流し込んだ版(鉛版・えんばん)を作成し、それを印刷機に掛ける。
紙型は複数回使用することができる。
もう一つの理由は、活字は24ミリ弱の厚みがあり、鉛版は3ミリ程度であるので、印刷機に掛けた場合の体積重量の負荷は、圧倒的に鉛版が軽い。
そのため、印刷機の稼働速度を上げ、生産性を高めることができるからである。
日本初の鉛版刷りは1876年「読売新聞」542号とされている。
一体、一つの鉛版で何枚ぐらい刷れるのだろう。
活字合金は印刷機に掛けると摩滅し、印字の切れが悪くなる。
7,000枚は刷れるという説があるが、通常、3,000部以上印刷する場合は、鉛版にメッキをかけ、印字面の硬度を上げて印刷した。
このメッキをかける代金は、印刷経費に加算される。
3,000部は、書籍雑誌の製作費の一つの基準で、印刷代金・製本代金とも、3,000部以下には割増料金が、以上には割引料金が適用された。
(出版部・T)
『近代文学草稿原稿研究事典』埋草(八木書店作成)より転載