オンラインストレージ・サービスの話 【文学・歴史資料のデジタル加工入門６】 （木越 治）
●同期しないフォルダを同期させるための奥の手
まあ、ここは頼りにならないとあきらめて、とりあえず、PCの再起動がいちばんてっとりばやいのでやってみた。
起ちあがったあと、Macのメニューバー（上のわくの部分）に出るGoogleドライブのアイコンの様子を観察していると、しばらくぐるぐるまわってから止まり「最新の状態」となる。が、依然として「論文保存用」というフォルダはできていない。二、三度再起動してみたが、同じことの繰り返しである。
これまでの経験からいって、再起動すれば、同期しないという問題はたいてい解決してきたので、この状態はかなり深刻なように思われた。
念のためにいうと、Dropboxを7年近くメインの作業場に決め、この点に関しては変更せずにきているのは、同期上の問題があまり起こらず、あったとしても、再起動すればたいていは修復されるからである。私のなかでは、経験上、いちばん信頼度の高いオンラインストレージ・サービスであると断言しておく。
しようがないので、「設定」をいろいろいじり、同期を一時停止させて、夕食に出かけ、帰ってきてから、一時停止をやめて再開させてみたが、これでも変化なし。
なお、この間に、問題のフォルダをダウンロードすることも試してみた。根本的な解決ではないが、フォルダのダウンロードがどんな具合か試したかったからである。Googleドライブでは、フォルダをまとめてダウンロードする時は、自動的にzipファイルにしてしまうようである。ファイル数が多いためか、かなり時間がかかった。個々のファイルは、文書ファイルがほとんどだからそんなに分量は多くない。だいたい100メガバイトくらい（「論文掲載誌PDF」だと、1.5ギガバイトくらい）。この100メガバイトの文書フォルダをダウンロードするのに、正確に計ったわけではないが、1時間くらいはかかったのではないかと思う。帰ってきて、そのzipファイルを展開したところ、Mac上のWindowsシステムのなかで展開したにもかかわらず、ファイル名がすべて文字化けしていてつかいものにならなかった。大部分Windowsマシンで作成したものをMacにダウンロードしたせいなのかもしれないと思い、Windowsマシンでもやってみたが、サブフォルダ以下はやはりファイル名がやはり文字化けしてしまって使い物にはならない。個別のファイルなら問題はないので、このへんは、サービスに連絡し、対処を要求しておこうと思っている。
ちなみに、Dropboxでは、フォルダ単位でのダウンロードメニューはない。iCloudでも、フォルダ単位でのダウンロードをさせてはいない。
OneDriveはフォルダ単位の場合は、やはりzipに圧縮してダウンロードするが、Googleドライブ同様文字化けしてしまう。フォルダ単位でのダウンロードは、いまのところ避けた方が賢明である。
そのあと、Googleドライブにあるフォルダのうち、いちばん小さい、「Misc」というフォルダ（新聞の切り抜きなどを保存してあるところ）を、PCの別の場所にコピーしておいて、オンライン上から削除したらどうなるかを試してみた。具体的には、このフォルダをweb上で削除し、再起動してみたのである。そうすると、再起動後、しばらくの間、Googleドライブが動き、PCのGoogleドライブにあった「Misc」はなくなった。つまり、このフォルダに関しては、オンラインとの同期は行なわれているのである。念のため、PCの別の場所にコピーしてあった「Misc」フォルダをこのPCのGoogleドライブにコピーし直し、様子を見ていると、数分のうちにオンライン上にも「Misc」フォルダができた。
これでみるかぎり、PCやオンライン上のGoogleドライブ内に起きた変化は、そのまま反映されているわけである。しかし、依然として「論文保存用」というフォルダだけはその対象外になっている……。
で、最後の奥の手として、「論文保存用」というフォルダ名を変更してみることにした。「論文掲載誌PDF」と「論文保存用」という同じ文字で始まるフォルダ名が２つあることがトラブルの原因かもしれない（基本的にそんなことはあり得ないのだが）と考えたからである。オンライン上にある「論文保存用」というフォルダ名を「自分の論文」という名前に変更し、様子をみたところ、すぐにPCのGoogleドライブに「自分の論文」が作成され、待っているうちに、サブフォルダもでき、ファイルがダウンロードされていった。この作業自体は数分で終了した。
たぶん、フォルダ名を変更することにより、それまであったファイル名一覧が破棄され、新たに一覧を作成する作業を始めからなのではないかと推測される。それ以前の同期されない原因は不明だが、同期がうまくいかないときは、フォルダ名を変えてみる、というのは、ひとつの対処方法として記憶されてよいのではないかと思う。
