小野蘭山の稿本【洒竹文庫及び和田維四郎氏6】

  • twitter
  • facebook
  • 小野蘭山の稿本【洒竹文庫及び和田維四郎氏6】

    村口 小野蘭山蔵書で滑稽なことがあったというのは、井上君が谷田とかいう人を見にやった、なかなかよいもので向うも高張っていたが、その時に付けた価格が七千円。 それ切りにして置けばよいのに、和田さんに私が御注進をした。「小野蘭山のいい物がございます」「どの位か」「一万五千円以上でございましょう」(笑声) […]

  • 江戸物の上等品三百種【洒竹文庫及び和田維四郎氏5】

    村口 野村氏は、君にいろいろ世話になったから、これだけの本を君にやると言う、そのくれるという本は江戸物の最上品三百種である。野村さんは反古同様に思っておったらしい。 それを見るとさすがに野村さんの蔵書ですな、結構な品物が相当にありましたから、有難く(笑声)頂戴して戻ったが私のものではない。磯部屋亀吉 […]

  • 野村素介氏とその蔵書【洒竹文庫及び和田維四郎氏4】

    村口 その次と申しますと、年代不順ですが野村素介(26)さんの蔵書、この品物と申しましたら、それはそれは珍本中の珍本揃いなのです。 誠に結構の逸品ばかりでした、これは私は商売を始めましてから恐らく買い始めの買い終(しま)いであろうと思う。これだけの本を持っている人がまたあろうとも思いません。恐らくあ […]

  • 岩崎・久原両文庫の設立【洒竹文庫及び和田維四郎氏3】

    村口 久原さんは「有難く頂戴する」と言って住吉へ帰って、三十坪もある講堂のような所へ入れるつもりで、高島屋へ註文して箱を拵(こしら)えさした。 ところが高島屋、なかなか拵えて来ない。一方和田さんは玄関へ本を一杯積んであって、気の短い方だからイライラしているところへ、岩崎久弥さんが来られた、和田さんが […]

  • 岩崎文庫と和田維四郎氏【洒竹文庫及び和田維四郎氏2】

    村口 和田さんのお話をしましょう。久原文庫、岩崎文庫が出来る前に和田さんのお話をしないと連絡しません。雲村さんに御懇意を頂きましたのは、明治四十年頃と覚えております。 明治三十七年から四十年にかけて、私の店で貧弱な目録を四、五回出しました。その後の目録と覚えておりますが、書生さんが来て「左内坂の和田 […]

  • 洒竹文庫本の始末【洒竹文庫及び和田維四郎氏1】

    村口 実は震災で持っていた手びかえを焼きましたので、自分の記憶に止まっているところをポツポツやるのですから、あるいは月日等の相違、名前の相違等があるかも知れませんが、御不審があったら御質問下さい、もっとも御質問下すっても大概判らないかも知れませぬが(笑声)、今夕は大野洒竹文庫と、和田雲村文庫について […]

  • 村口書房初代主人 村口半次郎氏【洒竹文庫及び和田維四郎氏0】

    数多くの貴重な古典籍を扱った村口書房。その店主が語る稀有な証言。 本コラムでは、村口半次郎「洒竹文庫及び和田維四郎氏」(『紙魚の昔がたり』明治・大正編)を16回にわたって全文掲載いたします。それに続いて、村口四郎「諸名家の宝庫を渉猟する」(『紙魚の昔がたり』昭和編)も掲載いたします。ご期待下さい。 […]