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出版部

平成から令和へ。2019年をふりかえって

平成から令和へ。2019年は皆様にとってどのような一年間だったでしょうか。

八木書店でもいろいろなことがありました。
この一年間を5つのトピックでふりかえります。

 

【トピック1】奈良絵本三昧!2度の展示会と講演会

2019年1月、個人蔵のコレクションをお借りし、厳選出品した展示会「奈良絵本を見る!」を開催いたしました。かわいらしい絵や緻密な表現など、多彩な作品の数々に多くの人が魅了され、好評を博しました。

また関連イベントとして、展示期間中の1月20日に講演会を開催。石川透先生、齋藤真麻理先生、藤原重雄先生にご登壇いただきました。
講演会の様子は「週刊読書人」に大きく取り上げられました。

〔読書人ウェブ〕https://mail.google.com/mail/u/0/?hl=ja#inbox
「奈良絵本は面白い! 戦国~江戸期の暮らし・風俗・文化を読み解く」

大きな反響に後押しされ、所蔵者のご理解のもと、秋には第二回展覧会を開催。展示品が第一回と一つもかぶらないという充実ぶりで、さらに好評を博しました。
https://company.books-yagi.co.jp/archives/news/5773

二回の展覧会と講演会は、新天理図書館善本叢書「奈良絵本集」刊行を記念して開催されました。
イベントと合わせて本シリーズは順調に刊行し、全8巻のうち、7巻まで刊行することができました。
新天理図書館善本叢書第4期 奈良絵本 全8巻セット
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/504

 

【トピック2】平成から令和へ。節目の年に年号を学際的・国際的に扱う学術書を刊行

今年の大きな出来事の一つに、天皇の代替わりにともなう平成から令和への改元がありました。

平成最後となった平成31年4月30日に刊行したのが、水上雅晴編/髙田宗平編集協力『年号と東アジア―改元の思想と文化―』です。
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2175

本書は年号に関する初めての本格的・学際的・国際的な研究書です。その学問的な貴重さが話題となり、朝日新聞(2019年5月23日夕刊)で大きく紹介されました。
本書に収録されたベトナム年号、朝鮮年号の論考内容にふれ、漢字文化圏から各国の事情にふれています。
記事は下記サイトから閲覧できます(全文を読むのに登録が必要です)。
〔朝日新聞デジタル〕https://www.asahi.com/articles/DA3S14025479.html

 

【トピック3】刊行から52年。史料纂集古記録編が通算200回配本突破

2019年5月「勘仲記6」刊行にて、史料纂集古記録編が通算200回配本を迎えました。
https://company.books-yagi.co.jp/archives/news/5437

続群書類従完成会発行により1967年12月にスタート。それから52年、約半世紀が経過しての「快挙」です。
ご購読をいただきました皆様に改めて厚くお礼申し上げます。

 

思えば八木書店が続群書類従完成会の出版事業を継承したのが2006年。古記録編147回配本「京都金地院公文帳簿」からはじまり、足掛け13年で通算200回の達成です。

その後も順調に刊行いたし、古記録編は206回配本「経覚私要抄11」、古文書編は48回配本「尊経閣文庫所蔵 石清水文書」が最新刊となっています。

また史料纂集シリーズのなかでも、以下の4点が本年完結に。令和最初となる年末年始に「一気読み」してみてはいかがでしょうか。

◇経覚私要鈔 全11冊【所収】応永22年(1415)~文明4年(1472)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2212
◇源敬様御代御記録 全4冊【所収】慶長5年(1600)~慶安3年(1650)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2205
◇妙法院日次記 全25冊【所収】元禄7年(1694)~寛政8年(1796)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/583
◇護国寺日記 全5冊【所収】元禄10年(1697)~宝永6年(1709)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/9800

 

【トピック4】いろいろなメディアでとりあげていただきました

新聞・雑誌・ウェブなど、今年も様々なメディアに取り上げていただきました。

◇史料纂集古記録編 守光公記1:『史学雑誌』128-4(2019年4月)
◇日本古代の道路と景観:『ヒストリア』272(2019年2月)
◇年号と東アジア:『朝日新聞』2019年5月22日
◇明治大学図書館所蔵 高句麗広開土王碑拓本
『美術新聞』2019年6月1日/『歴史評論』837(2020年1月号)
◇日本古代の輸送と道路:『中外日報』(2019年6月14日)
◇近松浄瑠璃の成立:『読売新聞』2019年7月23日
◇日本高麗関係史:『朝日新聞』2019年11月20日
◇江戸長唄成立史:『北海道新聞』2019年9月13日
◇日本書紀の誕生:『史学雑誌』128-7(2019年7月)
◇教育と研究の未来(紀伊国屋書店運営サイト)
Web版「群書類従」活用法第1弾『そうめん探求』
https://mirai.kinokuniya.co.jp/2019/10/6878/
Web版「群書類従」活用法第2弾『聖徳太子はいつ生まれたか』
https://mirai.kinokuniya.co.jp/2019/11/7106/
【マンガで解説】最新技術で貴重書を体感: 八木書店の高精細カラー版複製
https://mirai.kinokuniya.co.jp/2019/12/7534/

 

【トピック5】情報発信にチャレンジ

■マンガをつくってみた

本にまつわる情報を読者に届けるために、どうすればよいのか。
試行錯誤しながら、さまざまな情報発信にチャレンジしました。

その一つが、高精細カラー版複製の特長とこだわりをマンガで解説するという試みです。
https://company.books-yagi.co.jp/archives/news/5808

活字ではわからない原本の情報を、最新技術で正確に再現する八木書店の高精細カラー版。
高精細カラー版はどのように作られているのか。 影印本とデジタルアーカイブの違い。
私たちがこだわって、こだわりぬいて作っている出版物。その一端を知ってもらいたい。
文字資料を扱うあらゆる分野の研究者はもちろん、大学生、図書館司書の方など、人文学にかかわる皆さまにお届けしたい。そんな思いからはじまりました。

新進気鋭のマンガ家、永美太郎氏書下ろしの作画により解説しました。
学部で授業をもつ先生などから、「わかりやすくてよい」、あるいは「教材として使いたい」など、ご好評をいただきました。

 

■大好評 高精細カラー版

高精細カラー版を実践し大変好評を得たのが、『新天理図書館善本叢書』所収の類聚名義抄(シリーズ9-11巻)です。その成果は大変反響を呼び、訓点語語学会が発行し2020年3月に発行する学会誌『訓点語と訓点資料』144では、「類聚名義抄」の小特集がくまれ、その予告サイトでは「今回のカラー版の刊行により、研究は新たな段階に入る」とされています。
http://kuntengo.com/journal/

またそのほか国宝「日本書紀 乾元本」などの歴史資料や、重要文化財「池田本 源氏物語」などの高精細カラー版も好評を得ております。

 

■索引をウェブ公開してみた

さらに、刊行書の一部をウェブ上に無償で公開しました。その1つが、索引など本文の一部をウェブで公開する取り組みです。
学術書の特長として、索引があります。索引は本の内容を示す「キーワード群」です。

索引を読者が便利に使うのは当然として、本の存在を知らない人が、キーワードの宝庫である索引をきっかけに、本の存在に気づいてもらえないだろうか。
このように考えて、執筆者の了解をいただき、索引を全ページ、ウェブ公開することにいたしました。
サーチエンジンなどさまざまな検索一覧を通じて「索引」にたどりつき、それがきっかけで本を知る機会になるかもしれません。

 

また朝鮮半島の人々に手に取ってもらいたい、という思いを込めて、『日本高麗関係史』は、ハングルでの要旨をウエブ公開しました。

さらに、刊行書の一部を立ち読みできるようにしたり、著者に書き下ろしコラムをお願いしたり、ウェブを使った情報発信につとめました。

◇金子修一著『古代東アジア世界史論考』(はしがき・目次・序章・目次・索引)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622295.pdf
◇水上雅晴編/髙田宗平編集協力『年号と東アジア―改元の思想と文化―』(序・目次・索引)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622271.pdf
◇近藤剛著『日本高麗関係史』
序章・索引
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622332.pdf
要旨【日本語・ハングル】
https://company.books-yagi.co.jp/archives/5983
◇原道生監修・漆﨑まり著『江戸歌舞伎長唄成立史』(監修にあたって)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840697675.pdf
◇遠藤慶太・河内春人・関根淳・細井浩志編『日本書紀の誕生』(序)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622257.pdf 

 

■コラムを公開してみた

これまで同様、さまざまなコラムで本の魅力を発信しました。
その一端をご紹介します。

◇【コラム】年号と元号(水上雅晴・中央大学教授・中国哲学)
https://company.books-yagi.co.jp/archives/5375
◇【コラム】日本と高麗の関係を探る旅と出会い(近藤剛)
https://company.books-yagi.co.jp/archives/5939
◇【コラム】透過光撮影で読み解く紙背文書 『外記日記 新抄』の見どころ(遠藤珠紀・東京大学史料編纂所)
https://company.books-yagi.co.jp/archives/5751
◇【コラム】料紙から見る原本調査の世界(竹内洪介・日本近世文学)
https://company.books-yagi.co.jp/archives/5628

 

■活動をまとめてみた

以下の発表の機会を頂戴し、小社出版部の活動の一端を公開いたしました。
・恋塚嘉「出版社の情報発信」(『日本歴史』848、2019年1月)
・恋塚嘉「出版者によるデジタル文化資源 八木書店の『群書類従』デジタル化を学ぶ」
(文化資源学会 展望プロジェクト第4回研究会、2019年7月27日)


最後になりますが、この一年間で28冊を刊行いたしました。一覧はこちらからご覧いただけます。

■2019年の1年間に刊行した28冊を一覧にしてみた
https://company.books-yagi.co.jp/archives/news/6135

 

これからも本にまつわるさまざまな情報をお届けいたします。

ご支援をどうぞよろしくお願いします。