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立正大学・古書資料館の世界

仏教学者・河口慧海の旧蔵書【立正大学・古書資料館の世界 2回】(小此木敏明)

1.河口慧海の旧蔵書

第1回で土屋鳳洲について触れた際、河口慧海(えかい)の少年期の師、という紹介の仕方をした。河口慧海は近代の仏教学者で、最初にチベットに入国した日本人としても知名度が高い。そのため、鳳洲を慧海の師として紹介したのだが、慧海の名前が思い浮かんだのには別の理由がある。

実は、立正大学品川図書館には河口慧海の旧蔵書が所蔵されている。慧海の旧蔵書は、東京大学・大正大学・東洋文庫(公益財団法人)などに点在しているが、近年、庄司史生氏によって立正大学にも所蔵があることが公にされた。立正大学が所蔵しているものの内、サンスクリット文献などについては、すでに目録が刊行されている(庄司史生解説『河口慧海請来資料解題目録』立正大学情報メディアセンター、2013年)。それ以外の蔵書については目録がなかったが、今回、図書館から洋装本・和装本の解題目録が刊行されることになった。慧海の旧蔵書には和漢古書が含まれていることもあって、私も目録の作成に関わった。予定では年内に刊行されることになっている。前置きが長くなったが、そのようなわけで、今回は慧海の旧蔵書から何点か紹介することにしたい。

立正大学図書館が慧海の旧蔵書を所蔵することになった経緯については、長くなるので割愛する。詳細は、『中外日報』のWebサイトに掲載されている庄司氏の記事でも確認できるので、興味のある方はそちらを参照していただきたい。

*『中外日報』Webサイト(http://www.chugainippoh.co.jp/ronbun/2014/0523ron.html