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紙魚の昔がたり

西武デパートの優秀社員 【紙魚の昔がたり26】

(反町) 全体の出来高の三パーセントかを支払ったように記憶しています。出来高が大きいから、わずか三パーセントとしても、相当な金額です。とにかく、西武もわれわれに思い切ったサービスをしてくれました。あの頃私たちは、しばしばあそこで古書展を催し、十分な成績をあげていたせいもあるでしょう。それに、係りの佐野さんという人が、誠実で熱心で、よくしてくれましたね。西武もあの頃は、今日ほど盛んになっていない時代でしたから、明治百年記念という呼びかけと、我々の商品の持つ魅力及び業者の一種の力で、相当多くの新しい華客が集まるだろうと予想し、計算していたのでしょう。大変に親切にしてくれました。
 (八木) 新聞広告もずいぶん大きなスペースを使ってくれたんです。これがそれです(切抜きの実物を示す)。これまでの業界では例のない、大きなスペースです。
 (反町) (手にとる)ソーソー、これでしたね。朝日の全一面の二分の一くらいですか。
 (八木) 全八段くらいですね。
 (反町) 八木さんの会長時代に、どれだけ明治古典会が盛んだったか、わかりますね。
 (八木) これを朝日・読売・毎日・日経の四紙にのせたわけですからね。デパートさん側の負担でやってもらった。われわれの頼むことを、ほとんどみんな聞き入れてくれた。奮発してくれました。
 (反町) あちらの佐野さんの努力、それに上司の大塚さん。これが果断なお人で、話をきいて、良いと判断すると、即決する態度、人の言を信用する姿勢が立派でした。ここには人物がいるな、と感心しました。新しいことをやるのは、八木さんも私も大好きでしたから、好機を生かして、思い切ったことをズンズン決行。ありがたいことに、それがみな当たり、大成功でした。八木さんもえらいが、私たちは好運だったんですね。