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文学・歴史資料のデジタル加工入門

MS-DOSでできること・その3「削除系コマンドの使用法とバックアップ対策について」 【文学・歴史資料のデジタル加工入門5】 (木越 治)

c.Windows よるバックアップ

このほかに、Windowsユーザーだと、バックアップをとるようにとうるさく警告されるはずである。私は、そのためだけに500ギガバイトのハードディスクを利用しているが、にもかかわらず、デフォルトの設定のままであれば、しばらくするうちに「ディスクがいっぱいです」といわれるようになる。どれだけあれば満足なんだ、と突っ込みたくなるが、おそらく、バックアップ設定を Windows まかせにしないで、自分ではまずいじらないシステム部分だけに限定し、ストレージに置いてあるファイル類をのぞいてしまえば、だいぶ節約できるはずで、私も近いうちに見直すつもりでいる。

これを実際に利用するのは、個人のファイルを探すことよりも、PCの動きが悪くなったときであろう。が、「復元」のおかげでもとどおり動くようになった、という経験は実はあまりない。インストールしたが使わなくなったツール類をアンインストールしたり、ソフトウェアやドライバ類のバージョンアップなどを試みる方が、へたに「復元」を利用するよりも効果的だと思う。また、ある程度スキルを持った人にしかすすめられない方法だが、最終的には、手間がかかってもWindowsを再インストールした方が、レジストリも整理されて軽快に動くようになるはずである。

もちろん、そのためには、必須のツールやソフトウェア及びドライバの情報をきちんと把握しておく必要がある。これらは、いまはwebで見つかるものが多いが、そのあたりのことに自信があれば、数年に一度くらいの頻度でやってみると、古いマシンでも見違えるようにサクサク動くようになるものである。

 

d.外付けハードディスクでの保存

たぶん、これが、バックアップでの基本中の基本であろう。

作業場所であるDropboxは、年ごとのフォルダを作り、作業が一段落したときに必ず保存するようにしているので、古いファイルや終わったものは迷わずに消去できるのである。

なお、私は、ハードディスクでのバックアップは二重にとるようにしている。いつもPCにつないでいる3テラバイトのものがメインで、このほかに、いつもはしまってあり、ときどきつなげて使う1テラ及び500ギガバイトのもの計4台を細かく分類して使っている。他にネットワークドライブにも常時アクセスできるようにしてある。

文書ファイルだけだとこんなにいらないが、2000年以降、画像ファイルや音声ファイルが急速に増えてきたので、それらを二重にバックアップしておくには、文書ファイルの10倍20倍の容量が必要になってきたわけである。

ただし、これだけあると、そう頻繁にバックアップ作業をするというわけにはいかない。半年に一度やれたらいいくらいである。

私の知人に、もとの勤務先のスーパーコンピュータと契約して定期的にバックアップを更新しているという人がいる。確かめたところ七重のバックアップ体勢をとっているということであった。PCを使い始めて以来、システムクラッシュや、自分の操作ミス、あるいは WindowsUpdateの失敗等で大切なファイルをなくしてくやしい思いをしたことが何度もあるので、この知人の厳重なバックアップ体勢をそんなに大袈裟なこと思わずに私は聞いていたものである。なくなって困るのは、結局自分なのだから、念には念を入れてバックアップを取る癖だけはつけておくべきである。

 


 

顔写真・木越治アップロード用木越治(きごしおさむ)

1948年生まれ
1971年 金沢大学文学部国文学科卒業
1975年 東京大学大学院博士後期課程退学。
博士(文学)

金沢大学名誉教授、元上智大学教授

 

 

〔主な著作〕
『秋成論』(ペリカン社、1995年)
『秋成文学の生成』(共編、森話社、2008年)
『上田秋成研究事典』(共著、笠間書院、2016年)
『新編浮世草子怪談集』〔江戸怪談文芸名作選〕(校訂代表、国書刊行会、2016年)

『米国議会図書館蔵 日本古典籍目録』(共編、八木書店、2003年)
『講談と評弾―伝統話芸の比較研究―』(八木書店、2010年)