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出版部

影印から読み解く多彩な情報-高精細カラー版で『碧山日録』を読む-(山家浩樹・東京大学史料編纂所)

◆説話文学の源泉を知る天下の孤本

「碧山日録」は、東福寺の僧侶太極(1421~?)の日記である。残存年次は、1460年代、応仁・文明の乱前夜から最中の時期にあたる。社会情勢に加え、勉学に伴う内容が多い。失われた典籍からの引用のほか、僧伝など多彩な記事は、説話文学の源泉を知る上でも注目されている。

前田育徳会尊経閣文庫に写本が伝わる【図1】。これ以外に伝本はなく、天下の孤本である。転写本は、明治以降に作成された二種のみ、写真は東京大学史料編纂所に架蔵されるものの、尊経閣本の体裁を知る機会は限られていた。今回、『尊経閣善本影印集成』第9輯の一冊として、「碧山日録」の影印が刊行される。「碧山日録」の原写本の体裁を容易に知ることが可能となった点で、大きな意味がある。