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文学・歴史資料のデジタル加工入門

awkの使い方2ーcsvファイルからの展開【文学・歴史資料のデジタル加工入門9】 (木越 治)

●検索とあわせて使う―文献目録の利用―

以下に掲げるのは、自分のホームページで公開している上田秋成の研究文献目録(akinari.csv)である。ただし、全体は2000件以上あるので、そのうちの新しい分(とはいっても1999年末までしかない。別のところに最新版があるが、増補中なので今回は使わない)10件程度を見本として掲出しておく。

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すずきじゅん,鈴木淳,ゆきかひふり考,富士フェニックス論叢,中村博保教授追悼特別号,平成10年11月,12,1998.11,,
すずきよねこ,鈴木よね子,『藤簍冊子』の和歌表現,富士フェニックス論叢,中村博保教授追悼特別号,平成10年11月,12,1998.11,,
おざわえりこ,小澤笑理子,「目ひとつの神」の改稿過程について―文化五年本の読みと人物造型の変化を中心に―,近世文芸研究と評論,56,平成11年6月,22,1999.06,,
やましたひさお,山下久夫,秋成『金砂』の古代像―”水運の難波”への郷愁と喪失感―,日本文学,48の6,平成11年6月,9,1999.06,,
ながしまひろあき,長島弘明,雨月物語,『日本古典のすすめ』(岩波書店編集部編、岩波ジュニア新書),,平成11年6月,13,1999.06,,
おおわやすひろ,大輪靖宏,怪異からみた『雨月物語』の作品順序,上智大学国文科紀要,16,平成11年3月,16,1999.03,,
いいくらよういち,飯倉洋一,老曽の森の物語―「目ひとつの神」私見―,語文研究,86・87,平成11年6月,13,1999.06,,
いいくらよういち,飯倉洋一,近世小説に伏在する中古物語―秋成を例に,国文学(特集・近世文学、以前・以後),,平成11年2月,7,1999.02,,
いしいかずお,石井和夫,秋成の修辞とスタイル―対の構造,文学批評・叙説,19,平成11年8月,9,1999.08,,

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このデータは、次のようなフィールドからなっている。

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$1:著者のよみ
$2:著者
$3:論文名・著書名
$4:掲載誌・掲載書名(出版社)
$5:巻号
$6:頁数
$7:発表年月(元号表記)
$8:発表年月(西暦表記)
$9:備考(単行本収録データなど)

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こうしたcsvファイルを検索するのに、例えばVectorでWindows10/8/7/Vista/XP/2000/NT → ユーティリティ → テキストファイル用 → 検索を探すと、ごく最近登録されたフリーツールがいくつもみつかるが、たいていはWindows10上での検索ツールであり、コマンドライン用のものはない。こういうのを使うくらいなら、秀丸付属のgrepで充分である。
ただ、いまのMS-DOSに標準でついている「findstr」は、正規表現もサポートしている検索ツールなので、これを使うことにしよう。

●findstrを使ったcsvデータの検索

一番単純な、検索文字列と検索ファイルを与えるだけの書式は以下のとおり。

> findstr 菊花の約 akinari.csv

これで、データに「菊花の約」が含まれるものすべてが表示される。その結果の一部を示す。

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しげともき,重友毅,「菊花の約」の原話,歴史と国文学,5の5,昭和6年11月,10,1931.11,→『近世国文学考説』(昭和8年8月、積文館刊)・『重友毅著作集〈第4巻〉秋成の研究』(昭和46年5月、文理書院刊),
きくちよしこ,菊池芳子,菊花の約(現代語訳),むらさき,2の9,昭和10年9月,5,1935.09,《特輯「近世短編物語」の項の一篇》,
(中略)
きはらとしえ,木原敏江,『マンガ日本の古典28雨月物語』,中央公論社,,平成8年12月,270,1996.12,《「菊花の約」「浅茅が宿」「吉備津の釜」「蛇性の婬」を収録。あとがき(1頁)を付す》,
いのうえたいし,井上泰至,軽薄の人は読者なり―「菊花の約」を読む,文学研究,86,平成10年4月,12,1998.03,,

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