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高精細カラー版の製作現場

色校正裏話【高精細カラー版の製作現場2】

プロの超絶スキル

 

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現場の総監督、辰巳博一氏 (天理時報社取締役制作部長)

 

参考までに他の箇所で校正刷にメモされた指示の例を二つ挙げます。

 

「HLC-2 中間M+1」
〔意訳〕ハイライト(明るい濃度域)はC(藍版)を2%落とし、中間調(中間濃度域)はM(紅版)を1%上げる。

「刷りでY+」
〔意訳〕製版データはそのままで、印刷時にY(黄版)のインキ濃度を若干上げる。

上記のような指示は、経験を積んだプロならではの超絶スキルを要するため、とうてい我々には真似できないものです。また、色校正の際に貴重な文化財である原本と照合できる機会を持つことは極めて有難いケースで、一般的にはそうそうあるものではありません。それでは、図録の写真、単行本の口絵や参考図版等で古典籍・古文書のカラー図版の精度を高めるために、色校正時に発注者はどのような指示をすればよいのでしょうか。

 

一般的な留意事項

例えば、

・原本の色に近い既存の印刷物等を参考色見本として添付する。

・墨書・朱書・料紙等、主要な構成要素について各々具体的な要望を示す。

・全ての構成要素を思い通りに調整することは困難な場合があるので、優先順を示す。

・校正刷への指示記入だけではなく、できるだけ口頭説明も加えニュアンスを伝える。

等々、可能な限り手段を尽くして、どのような仕上がりを目指すのかを製作現場へ伝えることが肝要かと考えています。

(出版部・金子)


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