高精細カラー版の製作現場
色校正裏話【高精細カラー版の製作現場2】
カラー印刷の仕組み
その説明の前に、カラー印刷の仕組みについて簡単にふれておきます。一般的なカラー印刷では、プロセスカラーと呼ばれる手法でCMYKの4版を使います。
C=シアン(藍版)
M=マゼンダ(紅版)
Y=イエロー(黄版)
K=ブラック(墨版)※Kの略称はKey Plateに由来
原稿をこの4色に分解し、4版の掛け合わせで色を、微細な網点で連続諧調を表現します。
どのように色を調整するのか
それでは原本表紙の藍色をどのように調整するかというと、
校正刷の藍色が濃いのであれば、4版のうちC(藍版)の濃度を抑える?
ではありません。版面全体がCMYKのバランスで構成されているので、そのような単純な処置では他の部分のバランスを崩してしまいます。
この部分の校正刷に辰巳氏が書き込んだ指示は次の通りです(写真参照)。
「(藍色の模様部分について)M-2」「全体M-2 Y+1」
これを意訳すると、
藍色模様部分はM版の製版データを2%落とし、全体(藍色模様部分+地の部分)については、M(紅版)を2%落としY(黄版)を1%上げる。(結果、藍色模様部分はM4%落とし)
となります。
つまり、辰巳氏は原本と比較して「この藍色が少し濃い」という印象を瞬時にCMYKのバランスに変換し、各版1%刻みの調整指示を導き出しているのです。この調整指示を製版部門で処置し、本番印刷での刷り出しを確認すると、あら不思議、ちゃんとイメージ通りの調整結果に仕上がっていました。