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出版部

尊経閣善本影印集成 第九輯 鎌倉室町古記録(全10冊)完結!

尊経閣善本影印集成 第九輯 鎌倉室町古記録の第10回配本「尊経閣善本影印集成70 実躬卿記4・宣陽門院御落飾記・後愚昧記(山門嗷訴記・実豊卿記)」が納品となりました。
これで、尊経閣善本影印集成 第九輯 鎌倉室町古記録 全10冊が完結となりました!

●実躬卿記
鎌倉時代後期の公家、権大納言藤原(正親町三条)実躬(一二六四~?)の日記。弘安六年正月~延慶元年(一二八三~一三〇八)正月までの自筆日記が現存する。亀山・後深草・後宇多院等による院政の時期に、廷臣として活躍する実躬の行動が記述されている重要史料である。紙背にも文書・具注暦・仮名暦・歌合など多彩な記述を含む。
尊経閣本は弘安十年~徳治二年(一二八七~一三〇七)までの自筆原本で、重要文化財に指定される。大日本古記録『実躬卿記』にて翻刻され、尊経閣本はその底本である。

●宣陽門院御落飾記
記主は日野資実(一一六二~一二二三)と思われる。尊経閣本は現在知られる限り唯一の古写本であり、元久二年(一二〇五)三月・四月が現存する。内容は三月の宣陽門院(後白河天皇皇女、覲子内親王)の出家と、関連する仏事の記事である。宣陽門院母は丹後局こと高階栄子、後白河院寵妃でその没後も権勢をふるった人物で、この日記にも「二品比丘尼」として登場する。近年当該期の政治史研究において注目される女院の史料として貴重である。

●後愚昧記(山門嗷訴記・実豊卿記)
『山門嗷訴記』『実豊卿記』は、ともに北朝の延臣、前右大臣三条公忠(一三二四~八三)の日記『後愚昧記』の一部である。『後愚昧記』は康安元年~永徳三年(一三六一~八三)までが現存し、室町時代前期の政治動向を知る上で必須の史料である。
尊経閣文庫本の『山門嗷訴記』は応安元年(一三六八)七月~十二月を所収し、『実豊卿記』は応安六年(一三七三)八月記の全部と九月二日条のみの残欠を収録。ともに自筆原本であり、大日本古記録『後愚昧記』に翻刻される。

【所収書目】
「実躬卿記」四〔所収〕嘉元三年~徳治二年(1305~07)・解説(菊地大樹)
「宣陽門院御落飾記」〔所収〕元久二年(1205)・解説(菊地大樹)
「後愚昧記(山門嗷訴記・実豊卿記)」〔所収〕応安元年・六年(1368・1373)・解説(尾上陽介)

なお解説をご担当の菊地大樹先生に、写真を多数交えて、「実躬卿記」の見どころを執筆いただきました。ぜひご覧ください。

菊地大樹(東京大学史料編纂所)
「高精細カラー版で読む中世公家の自筆日記 『実躬卿記』の見どころ」
https://company.books-yagi.co.jp/archives/6203


第9輯鎌倉室町古記録(全10冊)の収録書目は、日記の記主による自筆原本や唯一の古写本などの逸品ばかりで、公家・武家・僧侶・医者など多彩な人々が残した日記を収録しました。中世日記の世界をご堪能ください。
本第9輯では以下の書目を高精細カラー版でお届けします。詳細内容見本(12頁)はこちらからご覧いただけます。

●所収書目
【公家】
実躬卿記(自筆原本・重要文化財)
宣陽門院御落飾記(唯一の古写本)
後愚昧記〔山門嗷訴記・実豊卿記〕(自筆原本)
公秀公記(自筆原本)
実隆公記(自筆原本)
【下級官僚】
外記日記〔新抄〕(唯一の古写本)
享禄二年外記日記(唯一の古写本)
【武家】
建治三年記(自筆原本・重要文化財)
【僧侶】
碧山日録(唯一の古写本)
蔗軒日録(唯一の古写本)
【医者】
盲聾記(自筆原本)


●尊経閣善本影印集成 第九輯 鎌倉室町古記録(全10巻)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2198

●10回配本70 実躬卿記4・宣陽門院御落飾記・後愚昧記(山門嗷訴記・実豊卿記)
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2191


本年12月から、10輯古文書全12冊が刊行となります。ご期待ください。

『尊経閣善本影印集成』第10輯「古文書」全12冊刊行のご案内