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立正大学・古書資料館の世界

古書資料館へようこそ 【立正大学・古書資料館の世界 0回】(小此木敏明)

2 古書資料館の概要

今回は初回ということで、まず古書資料館の概要について簡単に説明しておきたい。先ほど、開館は2014年と述べたが、何もこの館のために新たに蔵書を購入したわけではない。もともと、立正大学品川図書館(以下、立正大学図書館)に所蔵されていた和装本などを、古書資料館に移して独立させた形となる。立正大学では、大正13年(1924)から、A和装本・B洋装本・C洋書・D特別書(稀観図書・大型書・巻子本)というように、図書を4つのアルファベットで分類していた。この分類は現在も使われている。古書資料館に移動したのはその内のA本とD本、それに加えて、戦後にNDC(日本十進分類法)によって分類された明治期以前の和漢古書となっている。

開架室 書架

A本やD本の中には、明治から昭和初期の活字本なども含まれているが、蔵書の中心となるのは江戸時代に刊行された和古書であり、所蔵数はおよそ1万点、4万5000冊となっている。その蔵書は、岡雅彦氏らによって編纂された『江戸時代初期出版年表』(勉誠出版、2011年)でも調査対象となった。

ちなみに、私の仕事である専門員は、古書に関する質問や相談を受け付けたり、展示の解説を書いたり、図書館の歴史を調査し、『古書資料館通信』というパンフレットを作成することである。私は立正大学の国文学科の出身だが、平成22年(2010)に立正大学品川図書館が行った「今昔蔵書選」という展示企画に協力した縁で、現在の職についている。

なお、『古書資料館通信』は下記のアドレスから閲覧が可能である。最新号の5号は、明治・大正期における立正大学の図書の分類について述べている。興味のある方はご覧いただきたい。

http://www.ris.ac.jp/library/osaki/use/kosho.html

3 利用環境

もともとあったものを移したというと、建物が変わっただけと思われがちだが、それだけではない。最大の利点は、今まで書庫にしまわれていたもののうち、約8割が開架に並べられたことにある。これにより、利用者が書架から自由に本を手にとれるようになり、利便性が増した。館内はそれなりのスペースがあり、閉塞感はない。その点も利用者の方には評価していただいている。

とはいえ問題もあって、立正大学図書館の蔵書検索システムには、古書資料館の蔵書の書誌情報がまだ一部しか入力されておらず、冊子体の目録もすべてを網羅していない状況にある。そのため、本を探すのに一度来館していただき、昔ながらのカード目録を引いてもらう必要がある。この問題については徐々に改善していく予定である。

ご利用についての詳細は、上記のURLから古書資料館の利用案内を参照していただきたい。

立正大学は日蓮宗の教育機関を母体としているため、古書資料館の蔵書の多くは仏教関係の本となる。しかし、決してそれのみということではなく、色々と面白い本もある。今後、仏教書にこだわらず、様々な本を紹介していければと思う。


 

*本コラム掲載の画像は、すべて立正大学図書館の許可を得て掲載している。掲載画像の2次利用は禁止する。


■小此木敏明

略歴
1977年、群馬県に生まれる。
立正大学国文学科卒業。立正大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程単位取得満期退学。
現在、立正大学図書館古書資料館専門員、立正大学非常勤講師。
〔著作・論文〕
『立正大学蔵書の歴史寄贈本のルーツをたどる 近世駿河から図書館へ』(立正大学情報メディアセンター、2013年)。
「『中山世鑑』における依拠資料―『四書大全』・綱鑑・『太平記』について」(『説話文学研究』47、2012年7月)。
「『大島筆記』所収の琉球和文について―『雨夜物語』における『源氏物語』『伊勢物語』の享受と『永峯和文』の流布」(『立正大学人文科学研究所年報』53、2016年3月)。

■古書資料館とは
立正大学品川キャンパス内に2014年に開館した専門図書館。江戸時代の和古書を中心に約4万5000千冊を所蔵し、開架室では利用者が直接棚から取り出し、閲覧することができる。

http://www.ris.ac.jp/library/osaki/use/kosho.html