• twitter
  • facebook
文学・歴史資料のデジタル加工入門

MS-DOSでできること・その1「コマンドを使ってみる」 【文学・歴史資料のデジタル加工入門3】 (木越 治)

●文字化けしないために

文字コードの問題は、深入りするととても大変なことになるが、とりあえず、テキストファイルを扱うときはいちばん注意すべきである。特に、メールなどに添付するときには、文字化けして読めなかったといわれたりして、いちばん問題が起きやすい。だから、送る相手が使っているファイル形式がわかっている場合は、それにあわせる配慮が必要である。わからない場合は(私自身としてはあまりすすめたくないところだが)やはり Word 形式がいちばん普及しているので無難なところだろう。私も、一太郎で作成したあとで最終的に Word 形式に保存してから送るということをよくやる。ただ、それでは業腹なので(文末の注を参照)、PDF ファイルを添付しておくということもよくやる。

とりあえず、 MS-DOS では「シフトJIS」を使わざるを得ないわけだが、そうすると、ときに Windows では全く問題ないのに、 MS-DOS では扱えないファイルが出てきたりして、いろいろややこしいことが起こったりもする。

次回は、バッチ処理のことを解説しながら、そのあたりのこともふれてみたいと思う。

 

【注】 Microsoft Wordをあまり使いたくない理由は以下の4点である。

1.Microsoft が Word や Excel を Windows の付属品のようにしてマシンに装備させ、ユーザーに売りつけてきたこと。

2.こういう独占禁止法に抵触する販売方法を是認してきた日本政府や日本のメーカー及び業界の姿勢に対する反発。(Windows の初期において、このあたりのことを問題視する言説はあちこちで見られたが、大多数のユーザーがこの方向になびくようになってしまった2000年代以後は、そういうこともあまり言われなくなった。)

3.バージョンが変るたびにメニュー構造が変ってしまい、古いバージョンに慣れたユーザには新しいバージョンに慣れるまで時間がかかること。(これはExcel2003から2010にかえたときにかなり戸惑った)

4.日本語入力・整形用のワードプロセッサーとしては一太郎の方がはるかにすぐれている。ATOKとMS-IMEの比較はいわずもがな(たぶん、Word+ATOKというユーザはかなりいるはずである)、一太郎本体の機能に関しても、我々には必須のルビの処理などは一太郎は非常にすぐれている。

Word や Exel に対抗するソフトウェアプロジェクトとして、OpenOffice.org というのがあった(いまは別のかたちで引き継がれているらしい)が、Word のバージョンに必ずしも対応していないなどの問題があって、ある時期から私は使うのをやめた。

本当は、Word や Excel を、購入した PC に付いているからというだけの理由で無批判に使い続けるユーザに対して、それらは Windows 標準ではないのですよ、と啓蒙し続ける必要があるのだろうが、もうそういうことを言い続ける段階ではなくなったように思う。なので、個人的にできるだけ使わないようにするという消極的な対抗策ですませている。なお、Excelに関しては、これにかわる表計算ソフトがないために、いまのところは、使い続けている。


 

顔写真・木越治アップロード用木越治(きごしおさむ)

1948年生まれ
1971年 金沢大学文学部国文学科卒業
1975年 東京大学大学院博士後期課程退学。
博士(文学)

金沢大学名誉教授、元上智大学教授

 

 

〔主な著作〕
『秋成論』(ペリカン社、1995年)
『秋成文学の生成』(共編、森話社、2008年)
『上田秋成研究事典』(共著、笠間書院、2016年)

『米国議会図書館蔵 日本古典籍目録』(共編、八木書店、2003年)
『講談と評弾―伝統話芸の比較研究―』(八木書店、2010年)