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日本古書通信

「日本古書通信」10月号(88巻10号)10月14日発売

主要目次

吉岡 誠 “性風俗資料”に特化した古書目録 股旅堂
大木志門 俳人としての徳田秋聲―『徳田秋聲俳句集』(龜鳴屋)刊行に寄せて
伊能秀明 若山牧水、没後95年―佐藤緑葉、園田小枝子のこと
鈴木 亮 俳人鈴木紫陽花の秀作期
三好 彰 中浜万次郎著『亜墨利加詞』
牧村健一郎 山尾庸三と明治4 東奔西走の工部省幹部として
高木浩明 古活字探偵事件帖10 古活字版の校正2
田坂憲二 吉井勇の読書生活10 新生社の雑誌を読む(下)
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」25 《慰問袋に入れられた本たち》
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集49 奈良絵本『鶏鼠物語』
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ156 福知山「モジカ」ほか
森  登 銅・石版画万華鏡193 関東大震災100年
小田光雄 古本屋散策259 ほるぷの月賦販売
中澤伸弘 本居宣長と『二神拝詞』

その他

「署名本の世界」みたび4 中原中也『山羊の唄』島木健作宛(川島幸希)より

講演の演題は「署名本の世界―中原中也と四季派の詩集から」であった。中也の署名本は、刊行順に『ランボオ詩集《学校時代の詩》』『山羊の歌』『ランボオ詩抄』『ランボオ詩集』の四冊で現存するが、講演では『山羊の歌』(昭和九年十二月、文圃堂書店)に全体の半分近くの時間を掛けた。第一詩集でしかも生前唯一の詩集なのだから当然であろう。私が現在把握している同書の署名本は三十六冊である(その一覧は講演会資料集に掲載した。大多数は献呈本だが、予約者に署名した複数の本と署名だけで宛名がない本二冊が含まれるので「寄贈本リスト」ではない)。
中也が署名した正確な数はもちろん不明だが、この三十六冊以外にも萩原朔太郎、室生犀星のように寄贈を受けたことが確実な人物がいる(前者は本人の言葉による。後者は中也の親友安原義弘が、刊行から一週間位後に神田の古本屋で売られている献呈本を確認)。また立原道造も、没後の蔵書陳列会の目録に『山羊の歌』署名本が載っており、貰っている可能性が高い。
さらに現物未発見だが献本されたことが確実な人物も少なくない。『ランボオ詩集《学校時代の詩》』と『ランボオ詩集』を貰っている北原白秋、本書装丁者の高村光太郎、『四季』に書評を書いた草野心平などである。したがって、中也が署名した『山羊の歌』は優に五十冊を超えていたことが容易に推定されよう。


10月号 10月14日発売 定価750円(送料79円) ※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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