鈴木正信『日本古代の国造と地域支配』
鈴木正信著『日本古代の国造と地域支配』が納品となりました。
古墳時代から飛鳥時代にかけて地域を支配した国造をてがかりに、ヤマト王権の成立を解明した本です。国宝『海部氏系図』の研究・翻刻を付すなど、系譜研究にも寄与。ヤマト王権と豪族の実像を知る基本文献です。
以下URLから「試し読み」ができます。
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622653.pdf
【内容説明】
●国造制(こくぞうせい/くにのみやつこせい)は、飛鳥時代(およそ6~7世紀)に実施されたヤマト王権の地方支配制度である。ヤマト王権は政治的関係を結んだ各地の有力氏族を国造に任命し、その支配権を保障した。それに対して、国造はヤマト王権へ物資や労働力を供給し、戦時には軍事行動に参加した。
●こうした国造制の解明は、ヤマト王権による地方支配の実態を考える上で不可欠であり、膨大な先行研究が蓄積されている。近年は、奈良盆地南部で飛鳥時代の遺跡が多く発掘され、当該期の政治過程に関する研究書・一般書が相次いで刊行されるなど、日本古代史の分野において世間の注目を集めている研究テーマの一つといえる。
●著者は、約20年にわたって国造制に関する研究を行っており、これまでに『国造制の研究―史料編・論考編―』(共編、八木書店、2013年)、『国造制・部民制の研究』(共編、八木書店、2017年)や、国造制に関する専論を含む『日本古代の氏族と系譜伝承』(単著、吉川弘文館、2017年)を発表している。
●本書は、以上の業績をさらに発展させ、特に国造が各地域をどのように支配したのかという問題に焦点を当てて、国造制に関する最新の研究成果をまとめたものである。
●既発表論文には大幅に加筆訂正。国宝『海部氏系図』の研究・翻刻を付すなど、系譜研究にも寄与。ヤマト王権と豪族の実像を知る基本文献。
【目次】
序章 本書の視座と構成
第一部 国造制の展開と諸氏族
第一章 人制研究の現状と課題
―国造制・部民制の史的前提として―
第二章 境部氏と境界画定
第三章 凡直氏と国造制
―「凡直国造制」の再検討―
第四章 武蔵国造の乱と横渟屯倉
第五章 武蔵国造と物部直氏
第六章 蘇我氏とヤマト王権
第二部『国造本紀』と系図史料
第一章『国造本紀』研究の現状と課題
第二章 本居文庫所蔵『国造本紀之考』の研究
【翻刻】『国造本紀之考』
第三章『海部氏系図』の研究
【翻刻】『海部氏系図』
第四章『日下部系図』の研究
第五章『日下部家譜大綱』の研究
第六章 古代の系図について
―『海部氏系図』と『円珍俗姓系図』―
あとがき
索 引
日本古代の国造と地域支配
(にほんこだいのこくぞうとちいきしはい)
鈴木正信『日本古代の国造と地域支配』
本体10,000円+税
初版発行:2023年8月15日
A5判・上製・カバー装・376頁
ISBN 978-4-8406-2265-3 C3021