佐々木虔一・笹生衛・菊地照夫編『古代の交通と神々の景観―港・坂・道―』
本日、佐々木虔一・笹生衛・菊地照夫編『古代の交通と神々の景観―港・坂・道―』が納品となりました。
地方の社会・交通が生み出す祭祀の景観を復元
地域社会、環境、災害、港湾・坂・道路が神々に与えた影響とは
【内容説明】
①古代日本の祭祀を交通の観点から検証
本書では港湾、坂・峠・境界、道路に注目。交通・社会・立地が地域社会においてどのような祭祀を生み出したのか、実証的に検証した。また、本書では古代・中世移行期における気候変動・環境の変化を重視し、時代の変遷とともに変化を示す祭祀の実像に迫った。
②考古学の最新研究成果を提示
琵琶湖ほとりの塩津港遺跡(滋賀県)、北陸の気多神社・寺家遺跡(石川県)など、重要な発見が相次ぐ代表的な祭祀遺跡の最新知見を紹介。古代道路に関する最新の調査事例も豊富に収録。
③日本全国の古代祭祀・交通の実態に迫る
東北の祭祀遺跡や墨書土器、関東・中部の道路遺構や峠、北陸の神社遺跡や民俗事例、都の境界祭祀、中国・四国の道路遺構と地域の神々、九州の港や遣唐使に関わる祭祀など、全国の交通・祭祀に関わる書き下ろし論考を収録。地域・立地によって多様なあり方を示す古代社会の実像を追及。
④豊富なカラー口絵と多様な学問分野の論考で理解を深める
本書冒頭には収録論考に関係する主要な遺跡・遺物を紹介するカラー口絵(8頁)掲載している。また、文献史学・考古学に加え、日本文学・民俗学・祭祀考古学に関わる論考も収録。
【目次】
カラー口絵
序―『古代の交通と神々の景観―港・坂・道―』刊行にあたって―(佐々木虔一)
Ⅰ部 総論
1 記紀神話の世界と道―「天の八衢」・「いつのちわきちわきて」をめぐって―(菊地照夫)
2 律令制下の交通と祭祀(森田喜久男)
3 古代の交通路と祭祀の景観―祭祀・祭具の意味と古代末期の変化を中心に―(笹生衛)
4 古代・中世の交通と信仰・災害―近江竹生島とその周辺―(水野章二)
5 古代・中世移行期の気候変動と交通・祭祀(中塚武)
〔コラム〕古代日本の朝廷祭祀と交通(佐々田悠)
〔コラム〕道路・境界・祭祀(中村太一)
Ⅱ部 港湾と祭祀
1 古代の津湊祭祀を考える―能登・加賀の事例から―(小嶋芳孝)
2 能登半島と気多神社・寺家遺跡(中野知幸)
3 西海道北部の港湾と祭祀(大高広和)
4 古代播磨の内陸部の道とミナト―荒ぶる神の鎮祭伝承を素材にして―(坂江渉)
〔遺構事例〕琵琶湖塩津港の交通と祭祀(濱修)
Ⅲ部 坂・峠・境界と祭祀
1 考古学で解釈する坂・峠・境界の祭祀―陸奥南部の古墳時代を素材として―(荒木隆)
2 境部の成立と境界の祭祀(加藤謙吉)
3 集落の境界をめぐる祭祀―新潟県の民俗例から考える―(浅井勝利)
4 遣唐使・入唐僧をめぐる祭祀と祈り(河野保博)
5 山陰道のつづら折りの坂道と祭祀遺跡(坂本嘉和)
6 古代・中世移行期の天皇と境界の祭祀―四角四界祭を題材に―(井上正望)
〔コラム〕文学に見る坂・峠と祭祀儀礼(小野一之)
〔コラム〕足柄の坂と祭祀(鳥養直樹)
Ⅳ部 日本古代の道路と交通の実態
1 地方から都を往来する人びと―地方豪族層・運脚夫を中心として―(藤本誠)
2 山陰地域の陶磁器の流通―港湾施設の観点から―(廣江耕史)
3 古代北陸道の沿海ルートと能登半島(吉永壮志)
4 古代陸奥・出羽の交通と信仰(三上喜孝)
5 東国の交通と交通路の特色―古代常陸国を中心として―(原京子)
〔遺構事例〕宮城県原遺跡―東山道陸奥国玉前駅家・玉前推定遺跡―(川又隆央)
〔遺構事例〕東山道駅路牛堀・矢ノ原ルートの新例(和久裕昭)
〔遺構事例〕土佐国府周辺の道路遺構―高田遺跡を中心に―(池澤俊幸)
〔コラム〕チマタから辻へ(荒井秀規)
〔コラム〕碓氷峠熊野神社の鐘銘にみえる「臼井到下」(高橋人夢)
あとがき(菊地照夫)
執筆者紹介
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佐々木虔一・笹生衛・菊地照夫編
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/2367
本体8,500円+税
初版発行:2023年5月26日
A5判・上製・カバー装・538頁+口絵8頁
ISBN 978-4-8406-2263-9 C3021