「日本古書通信」4月号(88巻4号)4月14日発売
主要目次
内田誠一 近世「珍短」四種
安藤武彦 徳元自筆、源氏巻名発句短冊の小考
藤澤太郎 山之口獏 研究の進展と謎
山岸郁子 渉猟された本の行方
大屋書房纐纈くりさんに聞く 和本の魅力
高木浩明 古活字探偵事件帖4 見た目にだまされるな!
田坂憲二 吉井勇の読書生活4―「養徳叢書」を読む・下
真田幸治 小村雪岱の知られざる雑誌表紙絵36 「書物」余月号(三笠書房)
竹原千春 古本的往復書簡12 細川洋希さまへ 式場隆三郎『自分の影』
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その19《「チョーカクチュー」を探せ!》
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集43 女歌仙絵巻
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ150 神保町「古書センター」「@ワンダーJG」
森 登 銅・石版画万華鏡187 安田雷洲の銅版
出久根達郎 本卦還りの本と卦192 母子
三昧堂 高橋鏡太郎の俳句と評論4
八木書店古書部 近代日本文人の葉書32
その他
近世「珍短」四種(内田誠一)より
短冊蒐集の世界で「珍短」という語がある。遺されたものが少ない「珍奇な短冊」の意。大正時代ごろに富裕な知識層が短冊蒐集の世界に参入し始めてから、入手困難な短冊がもてはやされるようになった、というのが筆者の仮説である。それから間もなく「珍短」の語が蒐集家の間で用いられることになったのであろう。富裕層にとっては、如何に高額でも遺作の多い作者の短冊ならば簡単に購入できるので、数の少ない「珍短」にフォーカスしたのではないか。拙文では、そのような所謂の珍短ではなくて、筆者が珍しいと考えている短冊(広義の珍短?)を中心に取りあげてみたい。なお、和歌の翻刻では読み易さを考えて濁点を付した。
まずは大矢重門(一七六二~九六)の短冊。重門は美濃大垣の人。初名は重角。鈴屋(本居宣長)門の巨擘と言われたが惜しくも早世した。そのため遺作は少なく、実物は勿論のこと図版で見ることも稀である。
4月号 4月14日発売 定価750円(送料79円) ※ご注文はメールまたは電話、FAXで。
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