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日本古書通信

「日本古書通信」2月号(88巻2号)2月15日発売

主要記事

河野高孝 河野書店・河野高孝さんに古書業界この四〇年を聞く
鶴ケ谷真一 北園克衛との束の間の出会い
竹内栄美子 雑誌『LOTUS』と日本文学
高木浩明 古活字探偵事件帖2 欠損活字を探せ!
田坂憲二 吉井勇の読書生活2—「日本叢書」を読む
真田幸治 小村雪岱の知られざる雑誌表紙絵34 『舞踊小唄お伝情史』
古川富章 種田山頭火文献考10 山頭火のデビュー作品は他人の翻訳だった
竹原千春 古本的往復書簡10 細川洋希さまへ 「坊ちゃん」偏愛
小山力也 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その十七 《階上から来た鉄板ジュニアミステリ》
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集41 烏帽子折
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ148 秩父「ブックオフ」向島「甘夏書房」
森  登 銅・石版画万華鏡185  『ホトトギス』のさしゑ
出久根達郎 本卦還りの本と卦190 計数
木村八重子 未紹介黒本青本連載終了に当たって
三昧堂 高橋鏡太郎の俳句と評論2
八木正自 Bibliotheca Japonica302
八木書店古書部 近代日本文人の葉書31

北園克衛との束の間の出会い(鶴ケ谷真一)より

世に偶然というものはないのだとはボルヘスの言葉だが、人間、喜寿を目前にして振り返ると、なるほどと頷かれることがある。名だたる前衛詩人、北園克衛について書こうと思ったのは、ほかでもない、少年のころに遡る不思議ともいえる奇遇のいくつかが、まるで数珠をつらねたように思いだされてきたからであった。

中学生のころ、父の購読していた「昭和文学全集」(角川書店)の何冊かを覗いておもしろいと思ったのは、情緒的な小説類よりも、寺田寅彦の科学随筆と宮沢賢治の不思議な物語だった。さらに「昭和詩集」の巻にあった北園克衛の詩に目をみはるような思いをした。

その古びた本を庭にある書庫の奥から取り出してみると、全集の第四七巻、昭和二九年発行とある。安西冬衛から吉田一穂にいたる百三名の詩人がアイウエオ順に収録されている。それにしても、西脇順三郎、萩原朔太郎、堀口大学など代表的な詩人がそろっているなかで、なぜ北園克衛だったのかと思われるにちがいない。


2月号 2月15日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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