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日本古書通信

「日本古書通信」1月号(88巻1号)12月30日発売

主要記事

高木浩明 古活字探偵事件帖1 古活字版の誕生
田坂憲二 吉井勇の読書生活1—「百花文庫」を読む—
塩村 耕  熊沢蕃山にかかわる中院通茂の書簡を読む
安藤武彦 『塵塚誹諧集』の伝来めぐり
真田幸治 小村雪岱の知られざる雑誌表紙絵33『雅楽』
細川洋希 古本的往復書簡9 竹原千春さまへ 宇野浩二と鍋井克之
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その十六《眺めるだけでも楽しい「創元推理文庫」》
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集40 百合若大臣
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ147 江古田「スノードロップ」「根元書房」
森  登 銅・石版画万華鏡184  亀井竹二郎懐古
出久根達郎 本卦還りの本と卦189 白柄
三昧堂 高橋鏡太郎の俳句と評論1
牧村健一郎 上越線に乗る坂口安吾
小田光雄 古本屋散策250 内藤正敏『東京』『婆』
飯澤文夫 続PR紙誌探索46 『大鳳閣月報』『愛書風景』
八木書店古書部 近代日本文人の葉書30

古活字探偵事件手帖1 古活字版の誕生(高木浩明)より

今号より「古活字探偵事件帖」と題して、「古活字版」という書物についての話をさせていただく。

本書を購読されている方なら、ご存知かも知れないが、古活字版と言っても、一般にはそれほど知られた存在ではない。後に述べるように、文化史的な視点で見れば重要な書物であるにも関わらず、研究者の看板を掲げておられる方であっても、古活字版を正しく理解している方は、それほど多くはない。

そこで本稿では、古活字版についての基礎知識の確認から始め、近年、私が行っている古活字版を所蔵する機関ごとの悉皆調査(ごく最近では、国立国会図書館に所蔵される二八四点の調査を終えた)の過程で出会ったさまざまな「事件」を取り上げて行く予定である。

古活字版について、本格的な研究に着手して体系化を試みたのは、川瀬一馬氏による『古活字版之研究』である。昭和十二(一九三七)年に初版が刊行されてから八十五年、昭和四十二(一九六七)年に増補版が刊行されてからすでに五十五年が経つが、いまだにこの分野の羅針盤としての役割を果たしている。
しかし、この書に導かれて調査を進めてみると、再検討を必要とするところも少なくない。たとえば古活字版として刊行された本や、版種の数についても、川瀬氏が著録していないものがすでに百種以上確認できている。今後、医書や仏書など、この本が手薄な分野について調査を進めていったら、さらに多くの古活字版が発見されることだろう。


1月号 12月30日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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