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日本古書通信

「日本古書通信」10月号(87巻10号)10月14日発売

主要記事

中島義彦 『源氏物語』末摘花巻―源氏はどこで末摘花の琴を聞いたか(上)
斎藤秀昭 文学の〈鬼〉川崎長太郎の原点
東野治之 銅版師岡田春燈斎の逸事
村松 洋 和本の艶出し文様の撮影
高木庄治 札幌・一古書店主の歩み 弘南堂書店高木庄治氏聞き書き(十五)移転
思い出の歴史・今村拓史 古本屋でつなぐ東北(みちのく)3 古本屋の休日―東北古本屋バイク部ツーリング
真田幸治 小村雪岱の知られざる雑誌表紙絵30『水上瀧太郎全集』内容見本
竹原千春 古本的往復書簡6 細川洋希さまへ 宮家の旧蔵書
川口敦子 キリシタン資料を訪ねて7 ドン・マヌエル二世図書館
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その十三《久米正雄による日本最初期の創作長編探偵小説》
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集37 保元・平治物語
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ144 松本「アガタ書房」ほか
森  登 銅・石版画万華鏡181 田善の原点
出久根達郎 本卦還りの本と卦186 火叩き
八木書店古書部 近代日本文人の葉書27

その他

 『源氏物語』末摘花巻―源氏はどこで末摘花の琴を聞いたか(中島義彦)より

『源氏物語』の中で時折、時間的あるいは空間的な感じがつかめないところに出会うことがある。そうしたところの一つに末摘花巻の次のような箇所がある。(本文は『新編日本古典文学全集』「源氏物語」により、表記については私意により改めたところがある)。

末摘花巻の冒頭は、亡き夕顔を無性に恋しく思う源氏が、素直で心優しい女を求めて、少しでもこれはと思う女性に手紙を遣っているところから始まる。そうした折り、乳母子の大輔の命婦から、故常陸の宮の遺児である末摘花の存在を聞き、心を動かす。源氏は、十六夜の美しい月の晩に故常陸の宮邸を訪れ、一声でいいからきん琴を聞かせよと命婦を促す。(略)

例えば、「取り散らした部屋(常陸の宮邸で命婦がふだん使っている部屋」(『集成』)、あるいは「邸内の命婦の部屋に、源氏を待機させる意」(『新大系』)や「邸内の命婦の居室に、源氏を待機させる。もとは父の居所だったのを受け継いだもの。(略)」(岩波文庫新版)などとするが、源氏が請じ入れられた場所が具体的にどこかなのか明確ではない。そのためかこの部分の位置関係が判然としないのである。

【お知らせ】

本誌は昨年3月号で通巻1100号を迎えました。それを記念して、八木書店古書部が30年間に亘って蒐集してきた、近代文人の葉書1700名1700枚を全て画像付きの販売目録を兼ねた記事として、2020年8月号より3年間に亘り掲載していくことになりました。講談社『日本近代文学大事典』人名索引に掲載された文人を五十音順に掲載していきます。

ネットでの公開販売はなく、本誌定期購読者のみへの販売となります。

連載を保存することで、近代文人筆跡の参考文献となります。この機会に定期購読の契約をお勧めいたします。


10月号 10月14日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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