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日本古書通信

「日本古書通信」9月号(87巻9号)9月14日発売

主要記事

川島幸希 近代作家の資料7 宮沢賢治の詩稿付特製本
塩村 耕 同時代書画収集の鬼、如意道人の新出資料
竹居明男 市川團十郎と正倉院―明治時代の正倉院「拝観」の一齣
安藤武彦 半井卜養の手紙と古今調
田坂憲二 円山公園の初代枝垂桜―吉井勇周遊
高木庄治 札幌・一古書店主の歩み 弘南堂書店高木庄治氏聞き書き(十四)移転
盛高書店・工藤尚 古本屋でつなぐ東北(みちのく)2 帯に込めた推薦文―想いをつなぐ古本屋として
真田幸治 小村雪岱の知られざる雑誌表紙絵29『挿絵倶楽部』
細川洋希 古本的往復書簡5 竹原千春洋希さまへ 即売会で出会った献呈本
川口敦子 キリシタン資料を訪ねて6 エヴォラ公共図書館2
北原尚彦 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その十二《大学への途中で買ったジュヴナイルSF》
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集36 徒然草
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ143 武蔵境「プリシアター・ポストシアター」
森  登 銅・石版画万華鏡180 文会舎彫刻科
出久根達郎 本卦還りの本と卦185 不還本
川島幸希 前代未聞の荷風展
八木書店古書部 近代日本文人の葉書26

その他

 「宮澤賢治の詩稿付特装本」(川島幸希)より

戦前の十字屋版『宮沢賢治全集』に賢治の自筆草稿の断片を貼付した特製本が存在することを知ったのは、昭和六十二年のことであった。持っていたのは田村書店の奥平晃一さん。『宮沢賢治全集』の発行者酒井嘉七(田村書店の二軒隣で新刊書を商う十字屋書店の主人)秘蔵の一冊で、代替わりの後に懇願して譲ってもらったという。

この特製本を見せてもらったのは平成に入ってからである。すぐに見せてほしいとお願いしなかったのは二つの理由による。第一は「家宝だから」と奥平さんが言っていたからで、買うチャンスがない本を見ても仕方がないと当時は考えていた。第二は、自筆草稿が貼ってあるとはいえ没後の全集の特製版に、自分はそれほど魅力を感じなかったからである。

こうした事情もあり、初めて手に取った特製本(誰かに見せるために奥平さんが店に持ってきた)の記憶は薄い。見開きに手書きの小紙片が貼ってあったことと、本が通常版よりも分厚く、ずっしりと重かったことくらいである。まだ賢治の自筆資料を実見したことがなかったので、小紙片に書かれた文字が直筆かどうかも判別できなかった。その後、古本の世界でも、賢治の文学アルバムや展覧会目録でも、特製本を見る機会は一度もなかった。

【お知らせ】

本誌は昨年3月号で通巻1100号を迎えました。それを記念して、八木書店古書部が30年間に亘って蒐集してきた、近代文人の葉書1700名1700枚を全て画像付きの販売目録を兼ねた記事として、2020年8月号より3年間に亘り掲載していくことになりました。講談社『日本近代文学大事典』人名索引に掲載された文人を五十音順に掲載していきます。

ネットでの公開販売はなく、本誌定期購読者のみへの販売となります。

連載を保存することで、近代文人筆跡の参考文献となります。この機会に定期購読の契約をお勧めいたします。

9月号 9月14日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

株式会社日本古書通信社
千代田区神田小川町3-8駿河台ヤギビル5F
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