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日本古書通信

「日本古書通信」2022年6月号(6月14日発売)

主要記事

特集
高木庄治 札幌・一古書店主の歩み 弘南堂書店高木庄治氏聞き書き(11) 独立開店
八木書店古書部 近代日本文人の葉書23

本と人
川島幸希 近代作家の資料6 泉鏡花の句入りはがき(小村雪岱宛)
真田幸治 小村雪岱の装幀原画1 内田誠『水中亭雑記』
伊能秀明 私見 川端康成と若山牧水の「勘違い」1
古川富章 種田山頭火文献考(7) 山頭火肉筆回覧五句集 新資料紹介
竹原千春 古本的往復書簡2 細川洋希さまへ 志賀直哉の初版本
田坂憲二 吉井勇の自筆歌集・下 吉井勇と臼井書房
川口敦子 キリシタン資料を訪ねて3 アジュダ図書館(リスボン)
北原尚彦 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その9≪合格発表日に見つけた『一角獣・多角獣』≫
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集(33) 玉水
森  登 銅・石版画万華鏡177 松本龍山『袖玉京都細絵図』
出久根達郎 本卦還りの本と卦182 あと味

その他

 種田山頭火文献考(7) 山頭火肉筆回覧五句集 新資料紹介(古川富章)より

種田山頭火の文献資料で、現在確認されている最古の資料は、地元の山口県防府の地方文芸誌、『青年』明治四十四年七月号に掲載された翻訳文、「愛(猟日記の三頁)モウパツサン作」である。

山頭火は当時二十九歳。八月号には「ツルゲー子フ墓前の於けるルナンの演説」、十月号はツルゲーネフの「烟」と、翻訳作品の発表が続き、十二月号には「夜長ノート」と題し随想も発表している。

他方、同時期に山頭火は、弥生吟社という俳句結社に参加、句会を開いたり、「五句集」と名付けられた、回覧形式の句集を毎月出していた。

当時は河東碧梧桐の新傾向俳句が全国を席巻、新傾向に非ざれば俳句に非ずとまで言われた時代。新傾向俳句は各地の文学青年たちにとって、最新の流行文学であった。

弥生吟社もこうした時代を背景に、防府で誕生した青年集団で、五句集は同人たちの自由な発表の場でもあった。

その最古の五句集が、明治四十四年八月号の『夏の蝶』で、山頭火も田螺公の旧号で参加。俳句の掲載があることは知られていたが、原本が行方不明になるなどして、現在までその全容は不詳だった。

今回は新たに確認できた、多数の五句集関連新資料を、連載で紹介していきたい。

【お知らせ】

本誌は昨年3月号で通巻1100号を迎えました。それを記念して、八木書店古書部が30年間に亘って蒐集してきた、近代文人の葉書1700名1700枚を全て画像付きの販売目録を兼ねた記事として、2020年8月号より3年間に亘り掲載していくことになりました。講談社『日本近代文学大事典』人名索引に掲載された文人を五十音順に掲載していきます。

ネットでの公開販売はなく、本誌定期購読者のみへの販売となります。

連載を保存することで、近代文人筆跡の参考文献となります。この機会に定期購読の契約をお勧めいたします。


6月号 6月14日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

株式会社日本古書通信社
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