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新刊納品

関根淳著『日本古代史書研究』が納品となりました

本日、関根淳著『日本古代史書研究』が納品となりました。

本書では、史書の分析を通して古代国家の歴史認識を読み解いた新たな史料学を提示します。

天皇記・国記など、現存しない六国史以前の史書の実像を探り、古事記・六国史を再検証します。

 
■試し読みの公開
以下のサイトより、序文・目次・索引などの試し読みができます。
https://catalogue.books-yagi.co.jp/files/pdf/d9784840622516.pdf


著者の書下ろしコラム「古代史書の通史を目指して―『日本古代史書研究』のよみどころ―(関根 淳)」は以下よりご覧ください。

古代史書の通史を目指して―『日本古代史書研究』のよみどころ―(関根 淳)


内容説明

 ①史書を知る
古事記や六国史などの史書を読解することから始まる古代史研究。史書を読解するためには、史書の性格、史書の成り立ちを把握することこそが重要となる。
本書では最新研究を網羅し、史書そのものについて知らなくてはならない重要ポイントを解説。歴史学はもちろん、文学や図書館学など、史書を扱うすべての分野に必読の書。

 ②なぞの多い六国史以前の史書を解明
帝紀・旧辞、天皇記・国記、上宮記など、日本書紀以前にかつて存在した史料を体系的に検証。大倭本紀や仮名日本紀など、奈良時代にかつて存在した書物にも光を当て、知られざる古代史書の実像を解明する。

 ③価値化された古事記の再検証
古典として大きな位置を占める古事記を批判的に検討し、歴史書としての価値を再検討。現代では日本書紀とともに「記紀」と並び称されるが、古代では異なった価値観でとらえられていたことに注目する。

 ④国史編纂の内実と歴史認識
古代国家はどのように国史を編纂したのか。「実録」に注目し、史料の保存方法、編纂体制などを考究。さらに古代社会での「読書」の歴史、記述の立場により内容が書き換えられる歴史書の政治性・特殊性など、多彩な視点から史書の特質を読み解く。

 

目次

序章 古代史書と現代国家
はじめに
第一節 現代社会における史書と国家
1 国際政治における現代国家史
2 日本における移民問題とアイデンティティ
3 現代国家における史書研究の意味
第二節 本書の構成
1 本書の概略  2 六国史以前の史書
3 国史の編纂作業と実録  4 六国史の研究
5 本書のまとめと課題
おわりに

典拠史料一覧

第一部 六国史以前の史書
第一章 天皇記・国記考
はじめに
第一節 関連史料の基礎的検討
1 諸史料の予備的考察  2 推古紀と皇極紀の評価
第二節 『日本書紀』皇極四年六月己酉条の分析
1 天皇記・国記の焼失と船史恵尺  2 国記「奉献」と『姓氏録』序
第三節 『日本書紀』推古二十八年是歳条の分析
1 書名「天皇記」と国記の理解  2 「臣連…本記」の検討
3 「国記」の内容
おわりに

第二章 王統譜としての天皇記
はじめに
第一節 先行研究と論点の整理
第二節 天皇記関連史料の考察
1 天皇記の直接的な史料  2 「帝紀」の本文史料
3 「帝紀」の書名史料
第三節 天皇記の内容
1 神話・系譜と年紀  2 文体と用字
おわりに

第三章 氏族系譜としての国記
はじめに
第一節 推古二十八年の「皇太子嶋大臣共議之」
1 「皇太子」「嶋大臣」の史料  2 その解釈と分析
第二節 「臣連伴造国造百八十部幷公民等本記」一書説の検討
第三節 「史書」史の再考と推古朝の氏族制
1 「史書」史のなかの国記  2 「国記」関連史料の検討
第四節 国記の「戸籍」的機能
1 船史恵尺と発現期の戸籍  2 「国記」の由来
おわりに

〔コラム〕帝紀・旧辞の成立

第四章 上宮記考
はじめに
第一節 『上宮記』関連史料の考察(1)
1 『釈日本紀』所引『上宮記』一云
2 『聖徳太子平氏伝雑勘文』所引『上宮記』下巻「注云」
第二節 『上宮記』関連史料の考察(2)
1 『日本書紀私記』丁本にみえる『上宮記』
2 『天寿国曼荼羅繡帳縁起勘点文』所引「或書」と『三宝絵』巻中・第一条
第三節 『上宮記』と天皇記・日本書紀
1 『上宮記』と天皇記  2 舒明朝の政治過程と天皇記・『上宮記』
おわりに

第五章 古事記再考―その史料批判と「史書」史の位置づけ―
はじめに
第一節 古事記の系譜記事
1 帝紀としての古事記  2 一祖多氏型系譜(建内宿禰系譜)の分析
3 母系系譜の分析
第二節 序文と本文の検討
1 序文による作業工程  2 本文の成立時期
第三節 古事記と日本書紀
1 「記紀」の両立性  2 成立過程の比較検討
第四節 「古事記」の多様性
1 講書における古事記  2 複数の「古事記」
3 〝古事記〟というカテゴリー
第五節 偽作された史書と系譜
1 古代の偽作  2 反動としての九世紀
第六節 古事記の成立
1 講書における「史書」の価値化  2 古事記「序文」の偽作
3 古事記本文の由来
おわりに

付章1 日本と朝鮮の古代史書
はじめに
第一節 書評 遠藤慶太『東アジアの日本書紀』
第二節 日本と朝鮮の古代史書
1 百済史書の成立  2 朝鮮の古代史書
3 天皇記・国記と対外契機論
おわりに

第二部 国史の編纂作業と実録
第六章 国史の編纂と実録
はじめに
第一節 先行研究の整理と問題の所在
1 先行研究の整理  2 実録肯定説の検討
3 実録否定説の検討
第二節 関連史料の解釈
1 「修撰国史」の検討  2 「監修国史」および考課令の検討
3 『続日本紀』奏上の上表文の検討
第三節「田村記」と図書寮の人員配置
1 「田村記」の検討  2 図書寮の人員配置
おわりに

第七章 国史編纂の資料と作業
はじめに
第一節 編纂資料
1 外記日記・内記日記と公文書  2 氏族系譜と日記その他
第二節 資料の集積と保管
1 資料の集積  2 資料の保管
第三節 編纂作業
1 実録の編纂  2 国史の編纂作業
おわりに

付章2 実録編纂に関する補説
はじめに
第一節 細井浩志氏著『古代の天文異変と史書』の内容
第二節 細井書の批評と実録の編纂
1 細井書の批評  2 実録の編纂について
おわりに

〔コラム〕武家の歴史書

第三部 六国史の研究
第八章 戦後六国史研究の潮流
はじめに
第一節 戦後の六国史研究
1 一九四〇~一九六〇年代  2 一九七〇年代
3 一九八〇年代  4 一九九〇年代
5 二〇〇〇年代
第二節 研究の諸段階と今後の展望
1 研究の諸段階と問題点  2 今後の展望
おわりに

第九章 成立前後の日本書紀
はじめに
第一節 神代巻の構造と「一書」
1 「一書」の諸相と分析の視角  2 神世七代章における本文と「一書」
3 日本書紀の編纂と「一書」
第二節 書紀所引の諸本と異本
1 「或本」「一本」「別本」「旧本」の考察  2 雄略紀「別巻」の考察
3 「日本書紀」の異本の成立
おわりに

第十章 続日本紀の歴史認識―長屋王の「誣告」記事をめぐって―
はじめに
第一節 光仁朝における挿入の検討
1 続日本紀の編纂段階と「誣告」記事  2 中西康裕説の検討
第二節 淳仁朝・桓武朝における挿入の検討
1 淳仁朝・桓武朝の政治的概況と記事の挿入  2 長屋王の「怨霊」
3 中川收説の検討
第三節 桓武朝の歴史認識と長屋王の評価
1 桓武朝の政治情況  2 早良親王の死因
3 長屋王という存在  4 桓武「新王朝」の演出
おわりに

第十一章 日本後紀の可能性
はじめに
第一節 大平和典氏著『日本後紀の研究』の内容
第二節 日本後紀の可能性
おわりに

第十二章 日本三代実録の別称「外記番記」
はじめに
第一節 「外記番記」を日本三代実録の別称とする諸説
第二節 史料『惟賢比丘筆記』
第三節 『惟賢比丘筆記』の「六国史」
第四節 「外記番記」について
おわりに

〔コラム〕近現代における天皇実録

第十三章「記紀」以外の古代史書―『大倭本紀』と『仮名日本紀』を中心に―
はじめに
第一節 平安期の古事記と「記紀」以前の史書
1 平安期における古事記の評価  2 「古語仮名之書」「古語之書」「古書」
第二節 『大倭本紀』の考察
1 『大倭本紀』の内容  2 資料系統および「記紀」との関係
第三節 『仮名日本紀』の考察
1 『仮名日本紀』の内容  2 記述範囲と類書の存在
3 『仮名日本紀』と養老講書
おわりに

終章 古代国家の形成と史書
はじめに
第一節 王権の形成と稲荷山古墳出土鉄剣銘・帝紀
1 日本最古の「史書」  2 帝紀の成立
第二節 氏族制国家の到達点と天皇記・国記
1 天皇記  2 国  記
第三節 律令制国家の成立と日本書紀・古事記
1 「史書」史の〝大化改新〟  2 日本書紀の成立
3 古事記の位置
おわりに

あとがき

索  引
書名・史料名/研究者名


日本古代史書研究
(にほんこだいししょけんきゅう)
関根 淳著

本体9,500円+税

初版発行:2022年5月15日
A5判・上製・カバー装・432頁
ISBN 978-4-8406-2251-6 C3021