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日本古書通信

「日本古書通信」2022年5月号(5月14日発売)

主要記事

岩切信一郎 石版画家・茂木習古と三宅克己
細川洋希 古本的往復書簡1 竹原千春さまへ 広津和郎の初版本
川本隆史 書痴六遷都の教訓―仙台からのたより
田坂憲二 吉井勇の自筆歌集・中―吉井勇と臼井書房
安藤武彦 徳元「魚鳥誹諧」小考
小林信行 平田禿木をめぐる人々 尾崎紅葉2
川口敦子 キリシタン資料を訪ねて2 ポルトガル国立図書館2
小川力也 リレーエッセイ「ミステリ懐旧三面鏡」その8 ≪捕物帳絵本の名作≫
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集(32) 玉藻の前
岡崎武志 昨日も今日も古本さんぽ139 逗子「イサドとととら堂」鎌倉「くんぷう堂」
出久根達郎 本卦還りの本と卦181 義母
高木庄治 札幌・一古書店主の歩み 弘南堂書店高木庄治氏聞き書き(十) 独立開店
八木書店古書部 近代日本文人の葉書22

その他

 石版画家・茂木習古と三宅克己(岩切信一郎)より

口絵や挿絵といった印刷絵画でお目にかかるものの、一体その絵描きがどんな経歴の人物なのかと気になるものの、まったく手がかりがない。そんな画家に「習古」が居る。「石版」は明治期を席巻した優れた印刷で、日本人の眼を西欧のビジュアル世界に導いた功績は大きい。端的に言えば「物体には陰影があり、立体をつくる」、眼がとらえるままのリアルな絵があることを教えてくれた訳だ。主たる印刷稼働期間は明治七年末からほぼ大正初期の約四十数年とみられるが、中には戦後の一時期迄使っていた印刷業者もあったと聞く。

現代では、木版には興味を抱く人が多いものの石版となるとまったく関心が薄い。彼の明治人たちは新興の文明の香りする石版画を大いに楽しんだのだが、今や木版口絵は大事にされても石版口絵は顧られることがない。例えば、展覧会にしても《描かれた明治ニッポン~石版画〔リトグラフ〕の時代~》展が2002年から3年にかけて開催(神戸市立博物館・町田市立国際版画美術館・郡山市立美術館)されて、以来20年を経て益々、日本の石版画を見る機会は薄れて行くばかりである。

さて本題の「習古」の名が気になっていたのはボール表紙本の表紙絵、色刷のクロモ石版の怪しい色合いの中に見出したのにはじまる。というのもこの表紙絵の多くに画工名は無く、画工落款がある方が珍しかったからだ。


5月号 5月14日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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