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日本古書通信

「日本古書通信」2021年11月号(11月13日発売)

主要記事

安藤武彦 慶長七年の金描下絵連歌原懐紙
川島幸希 日本近代文学館への提言
高木庄治 札幌・一古書店主の歩み 弘南堂書店高木庄治氏聞き書き創業前(四)
佐々木靖章 キヌタ文庫創設者 永島不二男はモダンボーイだった
武内佳代 三島由紀夫と『女性自身』―三島流手紙講座はいかが?
鈴木紗江子 北米における日本の古書研究②
小山力也 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」その二≪探偵小説の皮を被った陰鬱な狼≫
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集(26)枕絵
真田幸治 小村雪岱と挿絵倶楽部④「東京新風景」『ホーム・ライフ』
出久根達郎 本卦還りの本と卦175 成衣店
八木書店古書部 近代日本文人の葉書16
その他

 川島幸希「日本近代文学館への提言」より

母に連れられて目黒区駒場の日本近代文学館(以下近文)に初めて行ったのは、昭和49年、中学2年生の秋だった。迎えてくださったのは早稲田大学名誉教授の稲垣達郎先生。母の学生時代の恩師で、近文の設立に尽力された方である。今日に至るまで人生で緊張した経験のない私は、この時も祖父より年長の稲垣先生に好きな作家を聞かれ、夏目漱石では在り来りだと思い立原道造と答えた。先生は微笑んで「お母さんの影響ですね」と言われた。案内していただいた書庫の記憶は鮮明ではない。2年後であったならばと惜しまれる。初版本を蒐め始めていたからだ。

あれから47年。元号は2回変わり、義務教育の生徒は還暦となった。そして近文の置かれた状況も大きく変化した。「文学館」と言えば近文を指した時代と異なり、今は全国に文学館があるのだから、相対的に近代文学の世界で近文の存在感が薄れたのは必然であろう。だが問題なのは他者との比較ではなく、近文そのものの地盤沈下である。所蔵資料のデジタル化の遅れ・利用者への高額な各種サービス提供・情報発信力の弱さなど枚挙に暇がない。本稿では、そうした近文の諸問題点の根源にあるものを明らかにし、その改善策を提言したい。

 

【お知らせ1】

来年1月号から前半8頁、後半8頁をカラー化します。総頁数も変わりませんが、定価は750円で据え置きます。益々のご愛顧をお願いいたします。

【お知らせ2】

本誌は本年3月号で通巻1100号を迎えました。それを記念して、八木書店古書部が30年間に亘って蒐集してきた、近代文人の葉書1700名1700枚を全て画像付きの販売目録を兼ねた記事として、2020年8月号より3年間に亘り掲載していくことになりました。講談社『日本近代文学大事典』人名索引に掲載された文人を五十音順に掲載していきます。
ネットでの公開販売はなく、本誌定期購読者のみへの販売となります。
連載を保存することで、近代文人筆跡の参考文献となります。この機会に定期購読の契約をお勧めいたします。


11月号 11月13日発売 定価750円(送料79円)※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

株式会社日本古書通信社
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