• twitter
  • facebook
日本古書通信

「日本古書通信」9月号(83巻9号) 9月14日発売です

主な内容

連載
札幌版「春琴抄」特製本                 山中剛史
堀悌吉中将の失脚について                渡辺 滋
北斎の折本『絵手本』に出会う―国内唯一の伝本か     宮尾與男
晶子と豪傑-神奈川県立近代文学館と横須賀美術舘     田坂憲二
中野好夫著書目録1研究書・評伝・評論・エッセイ集    樽見 博
国会図書館デジコレで読む古文書9 藤田東湖       大沼宜規
「露西亜評論」の時代15                蓜島 亙
千章館における小村雪岱                 真田真治
昨日も今日も古本さんぽ95 早稲田「古書ソオダ水」    岡崎武志
続・浮世絵の見所勘所 北斎              遠藤金太郎
銅・石版画万華鏡 133                   森登
本卦還りの本と卦 137  盆提灯           出久根達郎


堀悌吉中将の失脚について(渡辺滋)より

先日、堀悌吉(一八八三~一九五九)に関連するいくつかの興味深い史料を、古書肆から入手した。堀はワシントン会議で加藤友三郎の懐刀として活躍したのち、海軍省軍務局長となりロンドン条約に向けて尽力したが、部内の艦隊派と条約派の対立のなかで、大角岑生海相によって予備役に編入された人物である。彼が退役した際、兵学校同期の山本五十六は「海軍の前途は真に寒心の至なり」(『五峯録』)と手紙を送っているし、嶋田繁太郎は「堀などが海軍大臣として在任したとすれば、もっと適切に時局を処理した」(『大本営海軍部・連合艦隊 一』)と回顧している。
近年、「大角人事」を分析した太田久元氏は、大角が自らの権力基盤を維持するために、伏見宮や艦隊派に「擦り寄っ」て、堀などの条約派将官を次々と退役させる道筋を描き出した(『戦間期の日本海軍と統帥権』)。こうした最近の研究や、近年刊行された『堀悌吉資料集』などの成果も踏まえ、本稿では堀の退役に到る過程について再検討してみたい。

 


9月号 9月14日発売 定価720円(送料78円)

※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

株式会社日本古書通信社
千代田区神田小川町3-8駿河台ヤギビル5F
TEL03-3292-0508
FAX03-3292-0285
e-mail:kotsu@kosho.co.jp
http://www.kosho.co.jp/kotsu/