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新刊納品

『近代歌舞伎年表 名古屋篇第12巻』本日納品!

『近代歌舞伎年表 名古屋篇第12巻 大正10年~大正11年』が、本日納品になりました。

近代歌舞伎年表 名古屋篇 第12巻「ひろいよみ」

当時の名古屋の劇場は、喫煙をはじめとした衛生環境の悪さ、建築面での不備等という施設面での問題を抱えており、東京の帝劇の近代化された客席を羨む者もいたようです。一方では、観客の質を嘆く声もありました。「鴈・仁左・延・菊等の東西歌舞伎名優が矢継き早に顔を見せて、夏枯の興行界に百花繚乱の盛りを見せたが、彼等が去つた後は依然として旧の如く」(「新愛知」大正10・7・27)というように、全般に人気低調な興行界ではありました。
また本巻で特に興味深いのは、大正11年6月から8月にかけて義太夫語り・琵琶師の人気投票が新愛知新聞社主催で行われたことです。これらは、素人、玄人、有名、無名を問わず人気のある者を投票し、後日入賞者による演奏会を開催する、というようなものでした。主催者も驚くほど「白熱的の興味を以て」市民に「迎へられ」ていた様子がうかがわれます。この企画の成功により、第二回として舞踊・生花の人気投票がすぐに行われました。総票数は第一回が71万、第二回が85万票を超え、市民の関心の大変な高さを表す結果となりました。芸どころ名古屋の面目躍如たるところを示したのではないでしょうか。
そんな中、大正11年10月に、伝説のバレリーナであるアンナ・パブロワが末広座に舞い、また12月には、アインシュタインが国技館で相対性理論を語り、日本中で大きな話題を呼んだ公演が名古屋で開催されました。隣接する16町村を大正10年に編入して面積が4倍、人口も初めて50万人を超えた名古屋市は「大名古屋」となり、さらなる大都市へと発展を遂げていくのでした……。


■近代歌舞伎年表 名古屋篇12 大正10年~大正11年
https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/97