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出版部

本日納品 『近代歌舞伎年表 名古屋篇』第10巻

本日2月29日、国立劇場近代歌舞伎年表編纂室編『近代歌舞伎年表 名古屋篇』第10巻が納品になりました。

本名古屋篇もついに10巻目を迎えました。是非ご覧下さい!

 

【近代歌舞伎年表 名古屋篇 第10巻 ひろいよみ】

大正6~7年を収録。この2年間の名古屋の演劇界は前巻にひき続き、各劇場で興行日数を短くし、演目も頻繁に差し替えるということが状態が続いています。

これは、人口に比して劇場数が多いことが主な原因と思われますが、名古屋在住の有力俳優の不在も影響しているかも知れません。

しかし、これにより、多彩な興行が楽しめ「名古屋は芸どころ」と呼ばれる伝統を守っているともいえます。

大正6年の興行界は好景気の影響か、大いに賑わいを見せていましたが、大正7年7月後半から米価の暴騰を機におこった「米騒動」が全国を混乱に陥れました。

名古屋にも瞬く間に波及し、鶴舞公園に集結した数万人もの群衆のうち一部が暴徒化して軍の出動となる惨事となりました。

そのため、末広座は8月13、14日の公演が中止に追い込まれてしまいました。新守座・蓬座・高砂座などは、役所を通じて施米、寄付などを行い、民衆の鎮静化に一役買っています。

しかし客足的には相当な損害を被ったようで、興行界全体としては深刻な打撃を受けた様子が窺えます。

そのような状況下で、下回りの俳優達の生活は決して楽ではなく、新派・旧派ほかジャンルや性別に関わらず困窮していていました。

そして俳優の窃盗・賭博などの不祥事が度々おこります。

これらは劇界記事として掲載し、興行記録と共に名古屋興行界の様子を精確に伝えております。

また大正7年12月、偕行社において、第三師団将校団の主催によりドイツ人俘虜(捕虜)の楽士約70人による西洋音楽の演奏会が行われました。

ベートーヴェンの「第九」の日本初演が徳島におけるドイツ人俘虜によることはよく知られていますが、名古屋でも同様の演奏会が行われていました。

 

【『近代歌舞伎年表 名古屋篇』価格改定のおしらせ】

本書は、『近代歌舞伎年表 京都篇』第2巻(平成8年刊)を本体価格18,000円に設定してから、『京都篇』別巻を除いて、価格を維持して参りました。

近年の『名古屋篇』は膨大な情報を収録した結果、企画当初予定の平均頁数650頁をはるかに超える頁数の巻が頻出しておりますので、今回配本分から本体価格を1,000円値上げさせていただき、19,000円と致しました。

何卒宜しくお願い申し上げます。

 

※本書の詳細情報・ご購入はこちらから https://catalogue.books-yagi.co.jp/books/view/95

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