活字をはみだすもの(第27回)開催のお知らせ
平素は格別のお引き立てを賜り厚くお礼申し上げます。
さて、この度当店では前回に引き続き、近代文学特別講座「活字をはみだすもの」(第27回)を開催する運びとなりました。日本近代文学を専門とされる諸先生方に、当店所蔵の自筆資料を研究素材として利用して頂き、そこからどんな事柄がわかり、どんな可能性が見えてくるのかを解き明かして頂きます。実物を間近で見られるまたとない機会ですので、何卒奮ってご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。
2026.5.27 web公開スタートしました。
2026.6.8 予約状況
■「山陰土産」原稿に見る島崎藤村“新規まき直し”の旅の構想
机まわり満席です。周囲の椅子席にはやや余裕があります。
■耽美とミステリーの懸け橋 ―翻訳家・谷崎潤一郎の苦心
机まわり満席です。周囲の椅子席も残りわずかです。
■堀辰雄 葛巻義敏宛葉書を読む
満員御礼、受け付け終了となります。
■作品の「本文」を考える ―『全集』の「本文」に頼ることの危うさについて
満員御礼、受け付け終了となります。
【募集人数】 各回10人程度、延べ40人の募集となります。
【講座の内容】
■「山陰土産」原稿に見る島崎藤村“新規まき直し”の旅の構想
■講師 栗原 悠 先生 6月20日(土) 13:00~14:00
1928年、島崎藤村は畢生の大作「夜明け前」執筆準備のために舞台となる木曽の現地取材に向かいます。その前年、次男・鶏二を伴って初めて訪れた山陰地方についての旅行記「山陰土産」は、小説ではないものの、「夜明け前」やそれまで書き継いできた心境小説と響き合うモチーフが多く見出されます。原稿の修訂からそうした創作における思考の痕を探っていきたいと思います。
〔講師紹介〕 国文学研究資料館/総合研究大学院大学准教授、1987年生。島崎藤村を中心に、文学と同時代社会思想の接点を研究テーマとしている。また、文化資源としての近代文学資料にも関心を持っている。著書に『島崎藤村と創作の論理』(有志舎、2026)がある。
■耽美とミステリーの懸け橋 ―翻訳家・谷崎潤一郎の苦心
■講師 河野龍也 先生 6月20日(土) 15:00~16:00
*本講座の内容は、前回やむなく中止となったものです。
「阿片溺愛者の告白」に代表されるトマス・ド・クインシーの著作は、オスカー・ワイルドと並んで、谷崎潤一郎・佐藤春夫ら大正期の耽美派文学に対する偉大な教科書の役割を果たしました。昭和初期のエロ・グロ・ナンセンスの時代にも脚光を浴び、谷崎は「芸術の一種として見たる殺人に就いて」(『犯罪科学』昭和6年3月~6月未完)を自ら翻訳しています。耽美とミステリーを架橋した名訳の舞台裏の苦心を、自筆の訳稿から探ります。
〔講師紹介〕 東京大学准教授、1976年生。佐藤春夫を中心に、美術と文学ジャンルの交流や作家の異文化理解に関心がある。著書に『佐藤春夫と大正日本の感性』(鼎書房、2019)、編著に『知られざる佐藤春夫の軌跡』(武蔵野書院、2022)、『佐藤春夫読本』(勉誠出版、2015)など。
■堀辰雄 葛巻義敏宛葉書を読む
■講師 中澤 弥 先生 6月27日(土) 13:00~14:00
堀辰雄が葛巻義敏に宛てた1930年代の葉書を取り上げる。
葛巻義敏は、芥川龍之介の甥として知られており、芥川没後は遺稿の整理・保管にたずさわった。堀辰雄とは共に芥川龍之介全集の編集に当ることになる。その一方で葛巻は創作を試み、「四季」「青い馬」等の雑誌に小説を発表している。二人はたがいに競い合う文学仲間でもあった。葉書という狭小な場から二人の関係を探っていく。
〔講師紹介〕 多摩大学名誉教授、1959年生。文学と美術・映画などとの交流を主な研究テーマとする。また、横光利一など租界都市上海における日本人作家の活動にも興味を持つ。
■作品の「本文」を考える ―『全集』の「本文」に頼ることの危うさについて
■講師 庄司達也 先生 6月27日(土) 15:00~16:00
「全集の本文」とは、ナニモノなのでしょうか。多く出版されている『全集』という刊行物について考えた時、そこに載る「本文」というものが大いに気になっています。皆、等しく「全集本文」と呼ばれてはいますが、その出自はさまざまです。『全集』の編集に関わる書簡を幾通か取り上げ、そして、所謂「元版全集」と呼ばれている『芥川龍之介全集』(岩波書店、1927~’29)の「未定稿」の「本文」を例にして、『全集』の「本文」というモノを見つめ直します。
〔講師紹介〕 横浜市立大学教授、1961年生。芥川龍之介の〈人〉と〈文学〉を主たる研究テーマとし、出版メディアと作家、読者の関係にも関心を持つ。また、作家が聴いた音楽を蓄音機とSPレコードで再現するレコード・コンサートを企画・開催。著書に『100年読み継がれる名作 芥川龍之介短編集』(監修、世界文化社、2024)など。
【会費】無料
【会場】八木書店古書部 三階催事場
【主催】八木書店古書部 (担当八木乾二・小沼貴裕)
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-1-7 (靖国通り沿い・三省堂〔工事中〕並び)
営業時間:10:00~18:00 定休:日祝
TEL 03-3291-8221 FAX 03-3291-8223
https://catalogue.books-yagi.co.jp/
mailto:kosyo@books-yagi.co.jp
【参加申込みにつきまして】
konuma.yagibookstore@gmail.com 宛に、お名前、緊急連絡先、参加希望の回 をお知らせください。
随時ご返事を差し上げますが、業務の都合により、数日間のご猶予を頂くことがあります。
定員超過の場合は先着順とさせていただきます。
また発熱、咳など体調に不安がある方は、参加をご遠慮いただく場合がありますのでご了承ください。
【FAQ】
Q なぜこのような会を始めたのですか。
A 平成の初めの頃までは、年末になると文学館や大学図書館の担当者の方々が神保町にいらっしゃり、いろいろ品物を見て回られたものです。担当者の方々にとっては購入品以外の品物を見るよい機会であり、古書業者の側では現場の直接の要望を聞く絶好のチャンスでした。経費節減・支出削減の時流から次第にそのような習慣はなくなってしまいましたが、これではいけないと、ある先生が仰ったのが契機となり、現物を用いた勉強会のような集まりが生まれました。そのコンセプトは年々変化し、今では日本の近代文学に関連した一次資料に興味を持つ方々の緩やかな集まりとなり、半年に一度「物」と「活字」をつきあわせて「活字をはみだすもの」を探すようになりました。はみだしたものゆえ、結論に至らないこともありますが、思考過程と可能性を愉しんでいただければ幸いです。
Q 今までの参加者はどのような方々でしたか。
A 基本的に大学生を想定した講座内容となっておりますが、今まで参加されたお客様は、小学生から八十代の研究者まで、幅広い年齢層の方々です。
Q 大学の授業のように、先生方から指されることはありますか。
A 研究者や専門家の方々にプロのご意見を伺うことはありますが、学校の授業のように講座内容についての知識を確認することはありません。
Q 事前に作品を読んでおいたほうがよいでしょうか。
A 作家や作品についての知識は多い方が愉しめますが、当講座は「物」と「活字」をつきあわせて「活字をはみだすもの」を探すことがコンセプトですので、端的には「物」を見ないと始まらない部分があり、厳密な予習は難しいように思われます。
Q 一講座あたりの参加人数が少ないのはどうしてですか。
A コンセプトに「物」を見ることが含まれるため、どうしても大人数に対応できません。講座机のまわりに十人程度、壁際の椅子のみの席に五人程度の人数で締め切らせていただきます。
※ご意見、ご質問ありましたら konuma.yagibookstore@gmail.com までお知らせください。




