「日本古書通信」1月号(90巻1号)1月6日発売
主要目次
特集・2024年店舗のある古本屋一覧(6) 兵庫県
川島幸希 「署名本の世界」みたび19 谷崎潤一郎私家版『細雪』永井荷風宛
真田幸治 小村雪岱の雑誌目次絵2 『曙』
長澤和彦 二者合体―児玉空々と児玉旗山
宮尾與男 笑話本の流れと三題噺の系譜
河野 実 一寸随想8 「小林清親」の落穂拾い
佐々木靖章 近代文学渉猟(3)『イルフ・トイス 展覧会』カタログ
古川富章 HAIKUの多行表現史(5)柳島門八(久米正雄)の『試作三行詩』の斬新性
竹居明男 森鷗外と正倉院―小野善太郎『正倉院の栞』をめぐって
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」40《『醗酵人間』より珍しい?『骨なし人間』》
高木浩明 古活字探偵事件帖25 「秀頼版」幻想
田坂憲二 吉井勇の読書生活25 大佛次郎を読む(下)
その他
奈良絵本・絵巻の研究と収集(64)―俵藤太―(石川透)より
新年になり、本年は巳年である。
ヘビを描いた作品は数多くあり、女が蛇身となる『道成寺縁起』絵巻や、十二支の中で唯一女性として描かれる『十二類絵巻』等が有名である。
それらの中で、前回の『大織冠』とつながる話として、『俵藤太』がある。御伽草子に属すこの作品は、俵藤太こと、藤原秀郷が主人公である。
その概要は以下の通り。
朱雀院の時、藤原秀郷という名高い勇士がいた。瀬田の橋に横たわる大蛇の上を歩くと、大蛇から化身した女が現れ、三上山のムカデを退治してほしいと頼まれる。
三本目の矢で急所を射て退治すると、大蛇の女がお礼に、絹・俵・鍋を持って来た。これにより、俵藤太と呼ばれるようになる。
さらに、その女は、藤太を竜宮へ連れて行き、竜王に会わせ、釣鐘を授けた。藤太が下野に住んでいると、折しも平将門が乱を起こしたが、策を巡らせた秀郷は将門を射ることに成功し、都へ凱旋した。
この概要は、物語の前半をやや詳しく記したが、そこに瀬田の橋に横たわる大蛇が出てくるのである。民衆が橋に近付けないなか、堂々とその背中を踏みしめて歩く様子は、全ての奈良絵本・絵巻に描かれる名シーンである。
1月号 1月6日発売 定価850円(送料79円) ※ご注文はメールまたは電話、FAXで。
株式会社日本古書通信社
千代田区神田小川町3-8駿河台ヤギビル5F
TEL03-3292-0508
FAX03-3292-0285
e-mail:kotsu@kosho.co.jp
http://www.kosho.co.jp/kotsu/