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書店に並ばない本

書店に並ばない本4(白戸満喜子)

以下は「日本古書通信」掲載「特殊文献の紹介」欄に紹介されたものの一部です。
入手などについては、各書末尾の発行所へ直接お問い合わせ下さい。販売を主としたものではありませんので、丁寧な対応をお願いいたします。(日本古書通信社)

広島市こども図書館編集・発行「広島市こども図書館所蔵 ベル・コレクション解題目録」

同館が所蔵する洋書コレクションの解題目録である。このコレクションは、昭和24(1949)年にアメリカのハワード・ベル博士から寄贈された洋書を核としており、児童文学の古典や評価の高い創作絵本などの初版本が中心となっている。構成は「第1部 アメリカの日系人から故郷への贈り物「広島市児童図書館」」(長谷川寿美)、「第2部 ハワード・ベル博士と広島」(森本和子)、「第3部 ベル・コレクション報告書・解題」が「第1章 アメリカから贈られてきた20世紀前半の子どもの本」(三宅興子)、「第2章 解題」となっており、「書名さくいん」(アルファベット順)「著作者名さくいん」(アルファベット順)「翻訳書名さくいん」(五十音順)が付されている。昭和22(1947)年1月、GHQの民間情報教育局顧問として初めて広島を訪れたベル博士の思いから生まれたコレクションの素晴らしさに触れることができる一冊である。A4判、50頁、平成28年三3月。(〒730-0011 広島県広島市中区基町語5-83)

 

川越市立博物館編集・発行「徳川家康と天海大僧正 ―家康の神格化と天海―」

平成29年10月14日から12月3日まで同館で開催された特別展の展示図録である。家康没後四百年記念特別展。構成は「第一章 家康と天海―家康の神格化と天海―」が「第一節 家康の人となり」「第二節 天海の姿」「第三節 東照大権現と天海」、「第二章 喜多院と仙波東照宮」が「第一節 家康、天海と喜多院、仙波東照宮」「第二節 伝来の名宝」となっており、「家康の神格化と天海」(浦井正明)、「仙波東照宮の東照大権現」(塩澤寛樹)を収録している。A4判、115頁、平成29年10月。(〒350-0053 埼玉県川越市郭町2-30-1)

 

富士市市民部文化振興課編集「岩淵鳥居講」

申年に富士山頂へ鳥居を奉納する岩淵鳥居講に関する調査報告書である。構成は「第一章 岩淵鳥居講調査事業」が「第一節 調査の目的」「第二節 調査の経緯と体制」、「第二章 岩淵鳥居講の概要」が「第一節 岩淵の地理的環境」「第二節 岩淵の歴史的背景」「第三節 岩淵鳥居講の歴史的経緯」「第四節 近代以降の鳥居奉納の記録」、「第三章 平成二八年 鳥居奉納の記録」が「第一節 岩淵鳥居講の組織と動き」「第二節 鳥居の政策と準備」「第三節 富士山頂への奉納」、「第四章 史料にみる鳥居講」が「第一節 富士川渡船関係史料にみる鳥居講」「第二節 村山浅間神社関連史料にみる鳥居講」「第三節 富士山本宮浅間大社史料にみる鳥居講」「第四節 村山の山頂支配からみる岩淵鳥居講」、「第五章 富士山の鳥居と信仰」が「第一節 富士山頂の鳥居分布状況」「第二節 富士山頂での他の信仰行事」「第三節 富士山における鳥居奉納の意義」、「第六章 総括」となっている。
岩淵鳥居講は、富士川西岸の岩淵地区(旧岩淵村)にある八坂神社の氏子を主体とし、「駿河国新風土記」には、1808年の記録が残っている。鳥居の製作から山頂までの運搬方法は、時代と共に変化しているが、変わらぬ富士山信仰について本書は紹介している。A4判、62頁、平成29年3月。富士市教育委員会発行。500円。富士市文化財調査報告書第5集
(〒417-8601 静岡県富士市永田町1―100)

 

備前市教育委員会生涯学習課発行「備前焼をサイエンスする~科学と歴史の対話~」

本書は「備前焼の定説を考える」をテーマとして備前焼の歴史に対して科学の分野からアプローチしている。構成は「基調講演・基調報告・イントロダクション」が、「備前焼の歴史を科学する意味 ~科学の立場から~」(高長茂幸)、「用語ガイダンス」(武内修治)、「備前焼の歴史を科学する ~考古学の立場から~」(亀田修一)、「考古学と科学 ~赤色顔料の分析から~」(志賀智史)、「備前焼をめぐる自然科学と歴史学=考古学」(乗岡実)、「分析データ・トピックス」が「分析データ」(岡山セラミックスセンター)、「器面組織分析 ~古備前の窯変~」(西尾奏恵)、「誌上報告」が「窯焚きに関する対話―伊勢﨑晃一朗と赤井夕希子の場合」(備前歴史フォーラム実行委員会(聞き手)井上靖子)、「備前急須による千利休の「茶の湯型式煎茶法」(森村健一)、「備前市立備前焼ミュージアム企画展「安来市加納美術館コレクションおかえり陶陽」をふりかえる」(江木淳人)、「海外遺跡調査参加日記(1)」(山口莉歩)、「科学と歴史 ―分析を考える―」(石井啓)となっている。備前焼に限らず、美術・工芸品は成立や制作技法に関する歴史、生産や流通の関係、またその美しさ自体が研究対象とされる場合が多いが、近年ではさまざまな科学的視点が加わり、新たな研究段階を迎えようとしている。本書は、備前焼研究という枠組みでの研究分野拡大を紹介しつつ、既存の研究方法に対する新しい提言とその成果を提示している。A4判、123頁、平成29年3月。備前歴史フォーラム2016資料集
(〒705-0021 岡山県備前市西片上七)

 

長谷川道明企画・編集「クワガタムシ、カブトムシ学の最新研究」

2,017年7月14日から9月3日まで豊橋市自然史博物館において開催された特別企画展「武器甲虫―クワガタ、カブトの進化を探る―」の展示解説である。「明らかになってきたクワガタムシやカブトムシの系統と進化」(荒谷邦雄)、「日本列島のクワガタムシの起源と種分化」(荒谷邦雄)、「琉球列島におけるクワガタムシの起源と進化」(荒谷邦雄)、「日本列島のルリクワガタ類の分類と進化」(久保田耕平)、「武器形質を作る遺伝子」(森田慎一・新美輝幸)、「武器甲虫に見られる栄養依存的な武器形質発現~大きな個体が大きな武器をつくるしくみ~」(後藤寛貴)、「ノコギリクワガタの闘争行動 ―クワガタだって負けると落ち込む?―」(鈴木良芽)、「クワガタムシの共生酵母」(久保田耕平)、「クワガタムシ、カブトムシの栄養生理」(三島達也)という最新の研究成果を収録している。A4判、56頁、平成29年7月。豊橋市自然史博物館発行。600円。(〒441-3147 愛知県豊橋市大岩町大穴1-283)

 

関口かをり、倉林重幸、湯川紅美編集・企画「19世紀日本の風景 錦絵にみる経済と世相 ―米国FRB美術品展示会より―」

2017年10月14日から12月3日まで日本銀行金融研究所貨幣博物館において開催された企画展の展示図録である。構成は「Part 1 幕末開港から日本銀行設立へ ―貨幣・社会経済史―」「Part 2 錦絵にみる江戸の風俗」「 Part 3 幸福・富を願う ―福神絵―」となっている。本書は2014年9月29日から11月21日まで米国のFRB(連邦準備制度理事会)本館内で開催された展示会と同一の資料全点を紹介している。24×20cm、55頁、2017年10月。日本銀行金融研究所貨幣博物館発行。備前歴史フォーラム2016資料集
Japan’s social & economic landscape: 19th-century Woodblock prints
(〒103-0021 東京都中央区日本橋本石町1-3-1)


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