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文学・歴史資料のデジタル加工入門

MS-DOSでできること・その2「拡張子・ワイルドカードとバッチファイルについて」 【文学・歴史資料のデジタル加工入門4】 (木越 治)

● バッチファイルの注意点

バッチファイルを作成するときに、いちばん間違えやすいのは、コマンドやそのオプションの部分ではない。これらはきちんと調べるだろうし、ときには、ファイル一個を例にして試してみたりしているはずだから、まず間違えることはない。むしろ、ここで書いたような、ファイル名の前後に「”」を使用してきちんと読み取らせるようにすることとか、コピー先のドライブ名やフォルダ名を間違ってしまうようなあやまりが一倍多いのである。西暦部分の「2016」を全角数字にしてあったり、8月を指定するのに、「08」でなく「8」と一桁の数字にしたり、という類の間違いはしょっちゅうやる。たぶん、本職のプログラマーも、この種の、半角と全角、あるいは、数字の桁数の違いというような単純なあやまりのためにプログラムがうまく動かなかった、というような経験はかなりあるのではないかと推察している。

また、今回は、説明を省略したが、バッチファイルを実行するためには、ファイルのあるフォルダで実行しなければいけないが、いちいちそこにたどりつくために、何度も「CD」(Change Directory)とフォルダ名を入れていくのは大変であろう。たいていは、日本語のフォルダ名にしているだろうから、MS-DOS上で英語と日本語を何度も切り替えるのはとても面倒である。MS-DOSが敬遠されるようになるのは、こういうところにも原因があると思うが、さいわい、私の利用している「秀丸FilerClassic」というファイラーには、作業しているフォルダのMS-DOS画面に一発で移るコマンドがデフォルトで装備されており、今回の原稿はそのおかけでとてもスムーズに書くことができた。「秀丸FilerClassic」は有料なので、それがいやな人は、何種類か出回っているフォルダー移動だけに特化したフリーソフトをさがして使うのもいいだろう。

今回は、最初にあげたコマンドのうち、削除関係の「del」や「md」の例にはふれなかったが、MS-DOSのこのコマンドは、 Windows 上での「削除」コマンドのように「ごみ箱」に移動する段階を経ずに、いきなり完全に消去してしまうので注意を要する。それだけに、ディスクの整理や容量を増やすときには効果があるのだが、それらのことについては、次回に述べることにしたい。

 


 

顔写真・木越治アップロード用木越治(きごしおさむ)

1948年生まれ
1971年 金沢大学文学部国文学科卒業
1975年 東京大学大学院博士後期課程退学。
博士(文学)

金沢大学名誉教授、元上智大学教授

〔主な著作〕
『秋成論』(ペリカン社、1995年)
『秋成文学の生成』(共編、森話社、2008年)
『上田秋成研究事典』(共著、笠間書院、2016年)
『新編浮世草子怪談集』〔江戸怪談文芸名作選〕(校訂代表、国書刊行会、2016年)

『米国議会図書館蔵 日本古典籍目録』(共編、八木書店、2003年)
『講談と評弾―伝統話芸の比較研究―』(八木書店、2010年)