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紙魚の昔がたり

明治古典会の新出発 【紙魚の昔がたり25】

(反町) 明治古典会は、昭和三十年代には余りふるわないのですが、明治本も相当よく売れるから、明治古典会を、もう一度盛り立てよう、という気運になって来ました。明治古典会の再興のキッカケの一つになったのであります。ちょうど昭和四十二年が明治百年、四十三年が満で百年に当たります。このオッパチュニティーを活かそう、この商機を把握して盛大にしようってことになって、ここで明治古典会の大改組を断行しました。会員が全国に九十五人もいたのを解散して、明治物を一生懸命やる人だけを集めて、十五人に減らしました。八木さん、時代やさん、西塚さん、一誠堂さん、友愛さん、内藤さん等々と、堅くスクラムを組んで、再出発した。これがまたありがたいことに、非常に成功したのであります。再出発の最初の会長が西塚さん、次ぎが反町、三代目が八木さん。この間、約五年ほどに、明治古典会は大発展し、売上は十倍以上に伸びました。この頃から、八木さんも、また明治古典の世界に立ち戻って、活動をされる。
 (八木) 四十三年に私が明治古典会の会長の時に、本番の明治百年に当たりました。待ちに待ったチャンスなので、思い切ったスケールの大入札会をやることになり、大会委員長を反町さんにお願いしました。下見及び入札会を西武デパートで開催するという、未曽有の新企画。西武もたいへん乗り気で協力してくれて、七階の広大な会場を立派に装飾して特設し、提供してくれました。
 四十三年の十二月十三・十四日の両日を、招待客だけの特別下見日とし、十五・十六の両日を一般公開下見として、入札会が十七・十八日。前後六日間、大会場を借り切って、古書の入札会をやったわけ。空前絶後の壮大な企画でした。入札会ですから、デパートとしてはあまり利益がないわけ。すぐ売上げにつながらないですから。お礼はどういう形にしたんでしたかね。
 (反町) お客様には新鮮な感じを与え、業界では、みんなビックリしましたね。
 (八木) これがその時の展観入札目録です(実物を示す)。
 (反町) あっ、これこれ。大きさといい、カラー入りの写真版、また内容の充実した豊富さから見ても、この種としては前後に比のない物でしたね。