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日本古書通信

「日本古書通信」4月号(89巻4号)4月16日発売

主要目次

川島幸希 「署名本の世界」みたび10 中野重治『中野重治詩集』葉山嘉樹宛
章  瑋 『芥川龍之介写真集』編纂余話―中国旅行の行程をめぐる新発見
前田恭二 水島爾保布『新東京繁昌記』『痴語』-国会図書館蔵本に関するおぼえがき
折付桂子 戊辰資料をつなぎ続けて―会津の古書処・勉強堂書店さんに聞く
伊能秀明 若山牧水『独り歌へる』の出版事情
竹内栄美子 アジア・アフリカ作家会議と堀田善衛・野間宏
栗原郁夫 67年前の「高校生必読書」
安藤武彦 続・徳元作鷹詞之俳諧独吟の口語訳
沖田信悦 一草堂・宮田四郎の外地セドリ日誌(3)
小野純一 リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」31《二種類の『ペトロフ事件』》
高木浩明 古活字探偵事件帖16 徳富蘇峰と池上幸二郎
田坂憲二 吉井勇の読書生活16 夏目漱石を読む
石川 透 奈良絵本・絵巻の研究と収集55 御曹司島渡
その他

『芥川龍之介写真集』編纂余話—中国旅行の行程をめぐる新発見—(章瑋)より

大正10年3月19日の午後、芥川龍之介は大阪毎日新聞社の特派員として、東京から中国視察旅行に出発した。この旅行の行程のうち、とりわけ帰路については、まだ明らかにされていないことがある。同年7月12日、天津より「今夜半発の汽車」(芥川宛大正10年7月12日付絵葉書。以下、書簡の引用は『芥川龍之介全集』第19巻、岩波書店、平成9年による)に乗車してからの足取りである。
宮坂覺氏は「年譜」において、芥川が7月「17日(日)頃 奉天を経由して釜山から航路で門司に上陸」し、「20日頃 帰京し、田端の自宅に戻る」(『芥川龍之介全集』第24巻、岩波書店、平成10年)と推測している。一方で関口安義氏は、芥川が下関に上陸し、「下関港に着いた日は特定できないものの、七月一七日ぐらいと推定される」(『特派員 芥川龍之介—中国でなにを視たのか—』、毎日新聞社、平成9年)と述べている。
両氏はいずれも、上陸地並びに上陸日に関しては根拠となる資料を明示していない。今や芥川ファンの間で常識となりつつある、〈7月17日頃門司着/下関着〉がはたして正しいのか、資料に基づきながら確認したい。


4月号 4月16日発売 定価850円(送料79円) ※ご注文はメールまたは電話、FAXで。

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